内容説明
面白さとご利益が両立する「源氏物語」の豊かさ。「古事記」「日本書紀」の英雄や美女、怪獣への眷恋。豊饒で繊細なオーケストラを聴くような「萬葉集」。人情の諸訳、恋も青春も涙も友情も詠う川柳。歳を重ねてなお、発見と示唆に富む古典の奥深さ――。一茶、漱石、折口信夫、井伏鱒二に太宰治。チェーホフやサガン……。幼き頃より親しみ愛した物語や書物を言祝ぎ、読むことのよろこびを伝える極上エッセイ。
目次
日本文学の豊かさ―永遠の五・七・五(愛の義務 わが人生の書 “男”を勉強する『源氏物語』 ときめくGENJIの世界へ ほか)
小さな蕾―読む喜び(折口信夫先生に手を曳かれて 『猫』と私 情ということ “石川先生”と“足立センセ” ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
73
おせいさんは文学の人であると改めて思わされました。それも永遠の文学少女だと。サガンなどをときめきながら読み、ハイミスの物語を少女の手で描く。それが魅力だなと感じます。そんなおせいさんが好きです。2018/06/09
双海(ふたみ)
21
やっぱり国文学を学んだ人って親近感が湧きます。「いまどきの若い青年や娘、いやもっと早く少年少女たちに、美しい詩歌、それも声調ととのい、詩句絢爛たる日本の七・五調の詩(もちろん短歌も)を、なんで暗誦させないのだろう」・・・ほんと、その通りだ。2015/01/28
カタコッタ
9
このような文章を書ける女流作家はお聖さんしかいないでしょう。源氏物語をはじめ、まだ読んでいない田辺聖子の本が興味深くなりました。フランソワーズ・サガンの作品にエスプリある<少女手>の魅力を発見しすでに中年でありながら、『猫も杓子も』『言い寄る』『私的生活』を少女手で書く夢見小説として書きついでいったことをこの本で初めて知った。田辺聖子の世界は奥が深くて興味が尽きません。2016/06/06
kozue_and
1
とりあえず、挫折した「源氏物語」を田辺さんの訳で読もうと決めました。2012/08/20
おおやなぎまさひこ
0
最近はもう小説は書かれない田辺センセ。すでに名人芸の域に入っている小説を読みたいんですってば! と思いつつも買ってしまうエッセイ。この巻の読みどころは小説家を志す人たち向けに書かれているあたり。親切に書かれてはいるけど、それができる人は少ないよね、だから親切に教えてくれるのかぁ なんてところを読むのがいいのかもしれない。2012/01/16