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内容説明
原子力発電は,「危険」なものから一転,温暖化対策の切り札として「クリーン」なものへとイメージチェンジを遂げた.14基の新設が見込まれ,インドへの輸出が決まり,プルサーマルがはじまる.再処理は,最終処分場は,そして環境負荷は.多くの課題を抱える日本の原発政策およびエネルギー政策を問う.
目次
目次
はじめに
I 原子力論争における冷戦時代の終焉
〓 停滞する世界の原子力発電
〓 難航する日本の原子力発電
〓 日本の原子力政策の不条理
V 原子力発電と地球温暖化
むすび
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みのゆかパパ@ぼちぼち読んでます
6
温暖化や経済性などで原発が他の発電よりも優位なのかを示しながら、原発が抱える問題点をいろんな角度から示す。単に原発は危険というだけでない論点は新鮮だった。なかでも、核兵器をつくる技術を持ち続けることが、原子力事業のなかに位置づけられているというのは驚き。そのことの是非も含めて考えるきっかけになる一冊だった。2011/04/03
takeapple
5
3・11の直前の原子力発電をめぐる情勢について内閣府原子力委員会専門委員や経産省総合資源エネルギー調査会臨時委員などを歴任され、科学技術が専門の九大副学長の吉岡斉が原発の危険性、不経済性から早急に脱原発の道を進むべきという主張している。原発推進をしている国は、京都議定書を全然守れず、二酸化炭素排出が多かったり、増やしていたり(アメリカ、日本、フランス)反対に脱原発路線の国(ドイツ、スウェーデン、イギリス)は京都議定書よりも二酸化炭素の排出削減に成功しているとの記述も興味深い。2011/05/05
どりたま
3
原子力発電事業に多くの税金が使われていることは知らなかった。この本を読むと政府の手厚い支援があるから原子力発電事業が成り立っているらしい。メリットよりリスクが大きすぎて事業として無理があるのだろうか?政府も東日本大地震で180度方向を変える必要に迫られることは間違いないが、国民も真剣に考える必要があると思います。メディアにはもっと有益な情報の提供を…2011/04/18
koike
2
2011年2月8日に発行された本。福島第一原発の事故とは関係なく原発の未来について発信していた本。私はあの事故が起こらなければ読まなかった事でしょう。欲深い人間はそろそろ卒業しようよと言いたい。2012/10/13
壱萬弐仟縁
2
皮肉なことに、本著の発刊時期は2011年2月8日という、3.11の約1か月前のことであった。これを真剣に買い求めて読んでいて被災した人は、そんなにいなかっただろうから、悔やまれる。原発事業をして、「ただの過保護ではなく、巨大な破壊力を抱えるという重大な弱点をかかえる事業に対する過保護」(8ページ)だという。評者も過保護な人生経路を反省するが、過保護はよくない。自立・自律を阻む経済依存体質を生むからである。各国動向を冷静に分析し、わが国の猛省を迫る迫力があった。これからどう原発と対峙したらいいか教えられた。2012/07/28