- ホーム
- > 電子書籍
- > 教養文庫・新書・選書
内容説明
プラグマティズムは,もっともアメリカ的なものの考え方であり,今日のアメリカ資本主義社会とその文化を築き上げてきた基調である.本書は,このような考え方を初めて体系づけ,ヨーロッパの伝統的な思考方法を打破した点で不朽の功績をもつ.アメリカ的なものの見かたの核心は,じつにこの一冊に圧縮されている.
目次
目 次
序
第一講 哲学におけるこんにちのディレンマ
第二講 プラグマティズムの意味
第三講 若干の形而上学的問題のプラグマティズム的考察
第四講 一 と 多
第五講 プラグマティズムと常識
第六講 プラグマティズムの真理観
第七講 プラグマティズムと人本主義
第八講 プラグマティズムと宗教
解 説
人名索引
訳 註
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
98
哲学を心から信頼する著者は、古今東西の哲学がそれを唱える者の気質に由来し、不完全であり偏っているという。そして哲学に期待し学ぼうとする生活者の、偏りに満足しない胸の内にこそ健全な審判者が存在するとして、そこにプラグマティズムの基盤を置く。《事実との豊かな接触を保ち》《謎の解答ではなく謎を解くための道具》となるのがプラグマティズムだ。それは真理の有り様を経験に基づいて考察することによって、真理が我々にとってどんな実際的価値を持つかを見極め、真理と真理の間を調停し、接ぎ木し、新しい真理を作り出すものであると。2019/05/09
かわうそ
54
哲学書で1冊選べと言われればこのジェイムズの『プラグマティズム』を選びます。 『真理というもののうちには何か曖昧なものがあるのではないであろうか?』195 理論とは道具に過ぎす道具は何かしらの結果をもたらさなければなんの意味もないわけです。理論も真理もうつり変わっていくものです。前時代に積み上げられてきたものを受け継ぎながらも付加していく。だからそれは曖昧なものにならざるを得ないですし、人それぞれ生きてくために適した道具があります。それは合理論かもしれないし経験論かもしれない。はたまたプラグマティズムかも2023/07/22
かわうそ
54
ジェイムズは身も蓋もないことを言いますね笑。今までの哲学者はみんな過去のことしか語ってない。過去を語ってもどうにもらならない。過去が神によって作られていようが、物質の自己法則によって作られていようが過去の尊さに関しては何も変わらないって言うんですね。それに、哲学は実際に効果があるものを語るのでなければならないし、さらには過去ではなく未来の方を語っていくべきだと。彼が言っていることは最もな事だと思います。効果があるものこそが重要だというその思想が実体ではなく属性を注視すべきだという議論に繋がるのでしょうね。2023/01/30
Gotoran
50
プラグマティズムとは、行動を人生の中心に据え思考、観念、信念は行動を導くとともに、逆に行動を通して改造されるものであり、そして行動の最も洗練された典型的な形態を科学実験に求め、その論理を哲学的諸問題の解決に応用しようとするものと云う。また、実存主義、マルクス主義、分析哲学等と並んで現代哲学の主流の1つとも云う。結果重視の実用主義で最もアメリカ的考え方で、今日のアメリカ資本主義社会と文化を築き上げてきた在り方と云う。本書は、プラグマティズムとは何かについて、語れれた講義録。非常に、分り易かった。2018/07/31
かわうそ
45
『有神論と唯物論は、過去回顧的な見地から比較されると、どちらでも構わぬていのものであるが、未来展望的に見ると、全く違った相の経験を指し示している。……事実は、唯物論の行きつく実際上の結論の慰めなさがわれわれを愕然たらしめるというに過ぎないのである。』P109〜111 プラグマティズムに基づいて考えれば自らにとって益のない、実際上の効果のないものは何ら価値を持たないんですね。唯物論では未来に希望を持つことができない。だから、それはプラグマティズムに反することだから斥けるべきだと。思わず頷きながら読みました。2023/05/31