岩波文庫<br> 音楽と音楽家

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岩波文庫
音楽と音楽家

  • ISBN:9784003350218

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内容説明

シューマンは「春の交響曲」や「子供の情景」などの曲で親しまれるドイツ初期ローマン派の作曲家であるが,またすぐれた音楽評論家でもあった.本書はその論文の大半を収めたもので,ショパン,ベルリオーズ,シューベルト,ベートーヴェン,ブラームスなど多数の音楽家を論じ,ドイツ音楽の伝統を理解する上に貴重な読物である.

目次

目  次
   まえがき

 第一部 一八三四年以前
  1 《作  品 二》
  2 フンメル ピアノ練習曲 作品一二五
  3 ラロー先生、フロレスタン、オイゼビウスの思索と詩作のノートより
   スコアを読む/ニ短調交響曲のあとで/青春の豊かさ/ヘボ批評家/造形派(描写楽派)/クララ(一八三三年)/天才/音楽的清教徒/対位法家たちについて/ショパン/《レオノーレ》序曲/Nの交響曲(一八三三年)/批評家二相/ヘボ批評家たち/熱帯人の音楽/それが持続する間の瞬間の表象/ベルリオーズ(一八三八年)/ゴットシャルク・ヴェーデルのドイツ語使用の提案について
 第二部 一八三五年─一八三六年
  1 フロレスタンの謝肉祭の演説
  2 ベルリオーズの交響曲
  3 ピアノ曲集
   フェリックス・メンデルスゾーン(六つの無言歌、第二冊)/《銅貨を失くした憤慨》――ベートーヴェンのロンド(遺作)
  4 ピアノ・ソナタ
   フェリックス・メンデルスゾーン=バルトルディ(作品六) フランツ・シューベルト(第一大ソナタ イ短調 作品四二、第二大ソナタ ニ長調 作品五三、幻想曲またはソナタ ト長調 作品七八、第一・四手用大ソナタ 変ロ長調 作品三〇)
  5 箴  言(ダヴィド同盟員による)
   達人/愛好者気質/作曲兼演奏家/依存/ロッシーニ/ロッシーニ、ベートーヴェンを訪う
  6 協 奏 曲
   フレデリック・ショパン(オーケストラの伴奏をもったピアノのための協奏曲 第一番 ホ短調 作品一一、第二番 ヘ短調 作品二一)
  7 室 内 楽
   ショパン(三重奏曲 ト短調 作品八)/シューベルト(三重奏曲 変ロ長調 作品九九)/ショパン=フランショーム(ピアノとヴァイオリンのための大二重奏曲 ト短調)
  8 ピアノ曲
   《パガニーニの狂想曲によって作曲された六つの演奏会用練習曲》(ロベルト・シューマン 作品一〇)/ピアノ練習曲を目的に従って分類する
  9 ピアノのためのロンド
   シュテファン・ヘラー(ロンド・スケルツォ 作品八) フレデリック・ショパン(ロンド・マズルカ 作品五)
 第三部 一八三七年─一八三九年
  1 フェリックス・メンデルスゾーン=バルトルディ
   ─ピアノのためのプレリュードとフーガ集 作品三五─
  2 ショパン
   ─ピアノのための十二の練習曲 作品二五 全二巻─
  3 フランツ・シューベルトの最後の作品
  4 ショパン
   ─即興曲 作品二九、四つのマズルカ 作品三〇、スケルツォ 作品三一─
  5 フランツ・シューベルト
   ─ピアノのための四つの即興曲 作品一四二─
  6 ピアノのための協奏曲
   メンデルスゾーン(ピアノ協奏曲 ニ短調 作品四〇)
  7 ピアノのための練習曲
   フランツ・リスト(練習曲 作品一) フランツ・リスト(大練習曲 第一および第二分冊)
 第四部 一八四〇年─一八四三年
  1 フランツ・シューベルトのハ長調交響曲
  2 フランツ・リスト
  3 ピアノのための新しいソナタ
   ショパン(第二番ピアノ・ソナタ 作品三五)
  4 一八四〇年から一八四一年の間の定期演奏会
  5 オーケストラのための交響曲
   メンデルスゾーン(交響曲 イ短調)
  6 リ ー ト
   ロベルト・フランツ(ソプラノまたはテノールのための十二のリート、ピアノ伴奏つき 作品一 二冊)
  7 寸 言 集
  8 ショパンの小曲
   ─タランテラ 作品四三─
 第五部 一八四四年以後
  1 オペラ・ノート(一八四七─一八五〇)
   グルック《アウリスのイフィゲニー》/リヒァルト・ヴァグナー《タンホイザー》/ドニゼッティ《寵姫》/ヴェーバー《オイリュアンテ》/ロッシーニ《セビリャの理髪師》/オーベール《ポルティシのおし娘》/ヴェーバー《オベロン》/ベートーヴェン《フィデリオ》/チマローサ《秘密結婚》/ケルビーニ《水汲み女》/ジァコモ・マイヤーベーア《予言者》
  2 音楽の座右銘
  3 新しき道
   あとがき
   「ベルリオーズの交響曲」参考楽譜
   訳註

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

1959のコールマン

60
☆5。マイヤーベーアへの評価が有名な本・・・は別として、訳が秀逸。シューマンが生きていたころの音楽界隈が生き生きと目の前に現われるように表現されている。まあ元々のシューマンの文自体が秀逸なのかも知れないが。ねえ吉田先生。まあでも、最初は戸惑った。出てくる音楽家がその当時の流行の音楽家で、今じゃ誰も知らない人が続々出てくるので。しかし読んでいるうち音楽愛好家たちが、ああだこうだ、喧々囂々としているシーンが眼前に現われるようになって、ああ、今と全然変らんなあと妙に納得した。あとは一気読み。面白かった!2020/10/06

ロッキー

24
クラシックを聴きながら優雅に読んでみた(普段聴かね~のに)。作曲家シューマンが音楽評論家としてベートーベン、ショパン、メンデルスゾーン、シューベルトなどの作曲家を賞賛を交え論じている。リストの演奏会でシューマンが来ているのを知り急遽演目をシューマンの謝肉祭に変更したりと様々なエピソードも描かれている。ただし、自分が音楽に詳しくないが為に理解するのが難しい部分もある。終盤の『音楽の座右銘』の項はとても読みごたえがあった。ー恐らく、天才を完全に理解するのは天才だけだろうー。この本読んでるとそんな気がする。2011/08/11

吟遊

19
シューマンの評論集。または雑文集。「天才」「ベートーヴェン」「シューベルト」がキーワード。ショパンの才もいち早く認めている。19世紀前半の胎動だなあ。2018/06/18

壱萬弐仟縁

15
ドイツ・ロマン派。その後、主観性の抑制と客観性の獲得に関心を抱いた(あとがき)。快活、静穏、優美が古代芸術の特徴(21頁)。10年経って世間の話題になっている音楽というのはそうあるものではない(23頁)。現代も然り。オイゼビウスは、「天才よりも堅実に、根気よく勉強するくせに、目標に到達できないのは、秀才の呪いだ」(33頁)。前者を博士様、後者を博士後期課程修了者とするとわかる。「元来、人間というものは、天才の仕事場に対してはある遠慮を感じていて、ちょうど自然が木の根を土で蔽い隠して、心の優しさを示 2014/01/29

ポメ子

6
ドイツの作曲家シューマンによる、音楽と作曲家についての評論。 ベートーベンや、バッハに対しては、大きな尊敬の眼差しで語られており、その他、ショパン、ベルリオーズ、シューベルト、リストなども好印象で記されている。この批評は、大体、1830年代から、10年間、シューマンが輝いていた時に書かれていたものらしく、だんだんと音楽が、理想と違ってきたことも一因として、記す事も減ってきたらしい。しかし、そうした失意の中に現れたのが、ブラームスであり、彼の活動に期待している様子が最後に書かれていた。2019/04/14

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