岩波科学ライブラリー<br> 「あっ、忘れてた」はなぜ起こる - 心理学と脳科学からせまる

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岩波科学ライブラリー
「あっ、忘れてた」はなぜ起こる - 心理学と脳科学からせまる

  • 著者名:梅田聡
  • 価格 ¥1,320(本体¥1,200)
  • 岩波書店(2014/11発売)
  • ポイント 12pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784000074735

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内容説明

行きがけに手紙をポストに投函しようと思っていたのに,すっかり忘れていた──こんな経験は誰にでもあるだろう.なぜ人はそのような失敗をするのか.裏を返せば,どうして「しようと思っていたこと」を「タイミングよく」思い出せるのか.日常的な記憶経験を出発点に,心理学と脳科学の成果から,そのメカニズムを探る.

目次

目  次
   はじめに

 1 いろいろなうっかりミス
  し忘れ──「あっ、忘れてた!」
  し間違い──「あっ、しまった!」
  大事故につながることもある「し間違い」
  ど忘れ──「知っているはずなのに思い出せない!」

 2 「し忘れ」とは何か
  展望記憶
  人間関係にとって大切な記憶
  意図の存在が生む緊張
  肝心なのは思い出すタイミング
  年をとっても衰えない記憶
  スキル化された記憶

 3 「し忘れ」を実験的に再現する
  失敗の分析の難しさ
  並列型課題
  年齢差が見られなかった理由
  人工的な課題で記憶の失敗を再現できているのか
  物語置換課題
  並列型課題のさらなる難点
  存在想起と内容想起
  ミニデー課題──存在想起と内容想起を区別する
  時刻に対する敏感さ
  子どもの発達と展望記憶

 4 「し忘れ」を生み出す脳
  認知神経科学によるアプローチ
  記憶の障害──健忘症と認知症
  健康な「し忘れ」と病的な「し忘れ」
  内容想起の脳内メカニズム
  存在想起の脳内メカニズム
  存在想起と検索モード
  意識する前に違いに気づく脳
  記憶障害に対するリハビリテーション
  失われた展望記憶能力は回復するか

 5 「し忘れ」を防ぐ
  自らを知る──セルフモニタリングの重要性
  実行の時刻を特定する
  意図として認識する
  環境を整備する
   おわりに──「想起の瞬間」を求めて

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

calaf

10
未来にやるべきことを、ついうっかりとし忘れてしまう...やるべき時間を想起する成績は若者も壮年者も変わらないものの、内容を想起する成績には違いが見られるらしい...さらに、健忘症の人は時間の想起には成功するものの内容想起には失敗、認知症の患者は時間の想起も内容想起も失敗することが多くなるらしい...2013/01/10

那由田 忠

4
 未来の意図を記憶し、適切な時点で何かやらねばと気づき、やるべきことを行うという流れをきちんとできるか。それが抜けるのが、「あっ、忘れてた」である。 この三段階が脳の中で前頭葉で扱われるものの、機能が分けられていることが、いろいろな脳の部署が壊れている患者を調べることで証明される。健常者は当たり前のように全てが統合されている。  壮年者が人間関係の中でこうした一連の動きをスキル化しているので、一般的記憶力が低下しても、様々なノウハウによって補って若者よりもうまく立ち回れるというのが面白い。2014/09/30

還暦院erk

2
図書館本。ページ数少ない割に情報量多し。ど忘れも「し忘れ」も多いわたしは、梅田先生のおっしゃる通り環境整備と意識化で対応していきたいぞ。ところで、健忘症の「健」の字義は「よく・しばしば」だって(これはわたしが漢和辞典で調べた)。健やかに忘れるってわけじゃあないんだね(笑)。2015/01/25

ダンスにホン!ころりん

2
20070706第1刷発行 131107読了 肝心なのは思い出すタイミング2013/11/07

hoshineko

1
心理学と脳科学から読み解く「し忘れ」と「ど忘れ」のメカニズムの説明である。並列型課題における失敗要因の分析は面白かったが、結局、どうしたら防げるかの説明は、期待できない。 セルフモニタリング、実行時刻を特定、意図として認識、環境整備をするしかないのだが、防ごうとする人はすでにやっていることかと思う。2023/02/12

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