内容説明
佐藤正午、<賭け人生>20年の全記録
僕は若い頃から本を読み、文章を書き、そのかたわら競輪とつきあってきた。だからできることは次の二つしかない。一つ、競輪場へ行き、競輪をやること。二つ、机に向かって文章を書くこと――文壇屈指の小説巧者と呼ばれる著者のまなざしが机上を離れ、競輪というギャンブルにむけられるとき、そこにはまぎれもない素顔が表出している。小説家・佐藤正午が自らの25年以上にもおよぶ〈もうひとつの顔〉を記録した珠玉のエッセイ集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
奏市
12
佐藤正午さんの全て競輪に関するエッセイ集。競輪全く興味ないが、笑えたり、胸に迫るものあったり、プロットの美しさに感嘆したり、大変面白かった。佐藤さんの小説そのもの。ショートショートの逸品と思えるものも複数有り。今は興味ないが、子供の頃夕方テレビで見るものなく競輪見てたなぁ。吉岡選手、神山選手、懐かしい。佐世保競輪場、仕事で事務所に行ったことはあるが、中(観覧席)には入ったことがない。屋台のおばちゃんの話が良かった。子供の頃、酔っぱらった親父に屋台連れてってもらったなぁ。度胸ないから今後も車券は買わないな。2020/01/19
momo
10
競輪についての知識もなければ、賭けをすることの全くない生活を送っているのに、競輪について書かれた本書を熟読しました。佐藤正午のエッセイにはどこかに創作が含まれていて半信半疑の心持で読むのですが、本書からは著者の素顔のようなものが感じられて面白く読みました。競輪に対する熱い思いと車券を買う前の冷静な分析が随所に表現されていて、佐藤正午の考え方に触れたような気がしました。競輪場に行かないまでも、テレビで放送されていたら見たいと思います。佐藤正午の文章から感じた空間を実際に見てみたいという気持ちになりました。2017/12/28
ソラ
8
【読メ登録以前読了作品】 内容(「BOOK」データベースより) 文壇屈指の小説巧者と呼ばれるひとりの作家のまなざしが、競輪という“賭け”に向けられたとき、そこにはまぎれもない“もうひとつの顔”が浮かび上がってくる―。作家・佐藤正午が、競輪との折り合いの道を長い時間をかけて模索しつづけた全記録。単行本未収録の「しみじみ賭ける」、書き下ろし「あとがき」も収めた珠玉のエッセイ集。 2008/07/29
まこみや
6
全編これ競輪についてのエッセイというか随想なので、ギャンブルに不案内の自分はこれまで敬遠して読んでいなかった。正午さんは、競輪に臨む姿勢は自ら言うように「堅実派」らしいが、車券の買い方は“ヨミ”に徹した勝負師と見た。彼にとって競輪とは、自らの知恵と記憶と勘による、リスクを負った決断(推理)のゲームなのである。2020/05/13
ponnnakano
5
正午さん、ものすごく真面目にエッセイに取り組んだという感じ。ほとんど冗談も混じえずに。意外です。競輪好きに向けて書くときは、やはり普段とは少し違うんだなと、そこが興味深かった。本筋と違っててすみません。僕自身は、「まえがき」での著者の希望に近く、この本によっては競輪にもギャンブルにもあまり興味はわかなかったが、面白く読み終えられた。それが少し嬉しい。2019/05/10