内容説明
大人気時代小説家・山本一力の傑作中篇集。途方もない借金を背負う若夫婦が、起死回生を狙って茶碗の新柄の公募に挑む。その顛末は――。貧しい暮らしの中で追いかける大きな夢。武家社会の心意気、商人の気概。誠を尽くせば、身分の差を越えて人は分かりあうことができる。生きる力と明日への希望を与えてくれる感動作。「オール讀物」新人賞を受賞しデビューのきっかけとなった表題作は、著者自身の新人賞に応募していた当時の心情が色濃く反映され、胸に迫る。その他、『あかね空』以降に執筆した四作品を併録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mariya926
126
『あかね空』がすごくよかったので、デビュー作でもあり新人賞をとったこの本を読みました。いきなり話が過去に戻ったりするところがあるので、読みやすい訳ではありませんでしたが、武士が子どもと切腹しなければいけないところで、妻の説得を聞き入れ妻と子どもを逃がすというストーリーは今まで読んでみたかったので読めて良かったです。蒼龍も作家さんの実生活がベースになっていて、借金がある中で毎年絵に応募する生き様が生々しく表現されていて、読みごたえがありました。また機会があったら手にとってみたい作家さんです。2019/04/19
とし
113
山本一力作品2冊目、今回は短編、商人、武士、職人、気概、希望、信頼、忍耐、努力等々、生きるために必要要素がいっぱい詰まった内容。それぞれが素敵な登場人物でした。2014/10/27
ぶんこ
53
とても面白かったです。 誠実な人々の暮らしぶりが描かれていて、読後感が凄く良いです。 人生、 誠実に生きるのが一番の幸せへの近道と実感。 一力さんは、サイン会で「明日は味方」と書かれると解説にありました。 良い言葉ですね。 そう思える本を書いてくださっている一力さんに感謝です。2015/01/12
tengen
50
見込まれた指物師の弥助は大店近江屋の主人に請われ手代となるが店のもの達からの反発に萎える。★酒問屋稲取屋の父と息子高ノ助は不作の時節に仕入先灘萬への義理と客大事かで衝突する。しかし父の先見を知る日が来るのであった。★剣術指南役堀晋作は実弟が若君を死なせてしまったと聞き、潔く実子達の処断を覚悟する。★他藩から因縁を付けられ、藩存亡の危機に陥った土佐藩留守居役森勘左衛門は窮地に追い込まれる。★弦太郎は途方も無い借財の為にある事に挑むのだが。☆彡のぼりうなぎ/節分かれ/菜の花かんざし/長い串/蒼龍2017/01/06
Smileえっちゃん
37
途方もない借金を背負う夫婦が貧しい暮らしの中で追いかける大きな夢。どうか今年こそと〜表題作他四編。誠を尽くせば、身分の差を越えてわかり会えることができる。生きる力と希望を与えてくれますね。再読したい本です