内容説明
激動の戦国時代、織田信長という風雲児の妹として生まれたがために、あるいは、その比類なき美貌ゆえに、お市の方は激しく厳しい運命を生きる。近隣の国々を切り従え、天下統一を狙う兄・信長と、その兄と対決せざるを得ない最愛の夫・浅井長政。日々激化する抗争の狭間に身を置いて、お市の方は苦難に満ちた生涯を送るのであった――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
レアル
65
お市の視点から信長を見る事によって戦国の女「お市」を描いている。よく描かれている「信長の物語」の多くはその才を活かしきり、あっという間に天下を取ったような描き方が多いが決してそうではないし、また戦国の女の「輿入れ」の際は実家側利益代表の中で、いかに両家を取り持つかがこの時代の女の腕の見せどころらしい。上巻は子どもの頃のお市から輿入れして夫長政と兄信長が戦い始めた姉川の戦いが始まる辺りまで。戦国の女の厳しさと苦悩が描かれている。下巻へ。2017/05/25
リリー
14
お市の幼い頃からの様子、戦国の女性の複雑な立場、実家と嫁ぎ先の間で揺れ動く様を丁寧にに書かれていて楽しめた。下巻へ。 2016/07/14
鈴
14
読友あきさんからのご紹介で衝動買い。お江主役の本を読んだばかりだったので、その母お市主役のこの本もとても興味があった。私のイメージするお市とは違っていたが 案外心の中はこうだったのかもしれないなとも思った。下巻へ続く。2011/06/25
エドワード
11
ずっと昔に読んだ本だが、大河ドラマに因んで再読。永井路子の小説とは、高校生の時に読んだ「北条政子」以来30年以上のおつきあい。「この世をば」等の平安もの、「炎環」等の中世ものが特にお気に入り。時々「通説では何々であるが、これは間違いで」といった客観的な解説文が入るのがこの作者のユニークさ。現代とは全く異なる時代に生きた女性の心情描写には胸打たれる。「流星」は他の作品に比べテンポが速く、あっという間に終わるが、お市の方が薄命だったので仕方なかろう。「江」のサブタイトル通り、まさに姫たちの戦国そのものである。2011/02/02
紅花
10
女の私からすると、永井路子さんにハズレはない!政略結婚を強いられ、個人の意思は無視されていたかのような、印象を持ちかねない、今までの小説よりも、女性よりも、もっと生き生きと、知恵とプライドを持っている生き方の方が、しっくりする。この先、前途多難なお位置の方が、どんな思いで何を考え、どう生きていくのか。下巻も気になる。2022/08/14