内容説明
お見世出しとは、京都の花街で修業を積んできた少女が舞妓としてデビューする晴れ舞台のこと。お見世出しの日を夢見て稽古に励む綾乃だったが、舞の稽古の時、師匠に「幸恵」という少女と問違われる。三十年前に死んだ舞妓見習いの少女・幸恵と自分が瓜二つだと知り、綾乃は愕然とするが――。千二百年の都・京都を舞台に繰り広げられる、雅びな恐怖譚。第十一回日本ホラー小説大賞短編賞受賞の表題作に二編を加えた珠玉の短編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
徒花
150
まあまあ。京都を舞台にしたモダンホラー3作が収録された短編集。2つは舞妓さんがメインで、怨霊というよりも女性の持つ嫉妬・恨みなどの感情による怖さを押し出したもの。呪扇はちょっと毛色が変わり、京都の扇職人さんのつくる呪いの扇の話。グロテスクで人のもつ業の深さがなんとも不気味。でも一番好き。カバーイラストのような幽霊的な怖さではないけどさっくり読める。2019/12/22
machi☺︎︎゛
117
京都の舞妓さんのホラー。舞妓さんになりたかった少女の怨念がひしひしと伝わってきて、京言葉もプラスして怖かった。舞妓さんの世界はほんとに厳しいだろうしそのくらいの思いをしている子も本当にいるんだろうか。3作目の呪扇は痛々しかった。グロい部分は流し読みで読んだけどそれで十分だった。2019/12/07
ままこ
96
表紙がこっ怖い‼︎京都の花街が舞台のゾワリとする三つの短編集。美少女舞妓が語ったお見世出しに纏わる因縁とは…。ほっほっほっ。執念が凄かったタイトル作。「お化け」我がままな“ねえさん”に振り回されて起こった恐怖譚。哀しく優しい怪異もあれば只々恐ろしい怪異もあった。そして歪んだ人間も怖い。「呪扇」はとにかくおぞましかった。結末の一言もゾクリ。2019/11/04
HANA
72
京都の怪談というと古都の闇が感じられるものが多い。さらに祇園ともなると一層その闇が凝ったものが、あちこちの隅から覗いているような印象を受ける。三篇が収録されているのだが、表題作は六道参り、「お化け」は深泥池に節分の「おばけ」と京の風習に密着したものが出てくるのも嬉しいところ。盆の照り付けるような暑さと、冬の夜の痛いような寒さを思い出しながら読みました。京都だとふと異形が訪れてもおかしくないしなあ。「呪扇」は芥川の短編を思い出すが、グロ趣味に走りすぎてるかなあ。千年の闇が持つ強みを生かした本、楽しめました。2020/11/06
★Masako★
71
★★★★ 森山さん初読み♪ 京都を舞台にした三編からなる恐怖譚。お見世出し(日本ホラー小説大賞短編賞受賞作)/お化け/呪扇。お見世出しとは、京都・花街で修行を積んだ少女が舞妓デビューする晴れ舞台のことだそう。お見世出し/お化けは、芸(舞)妓たちの嫉妬、恨み、執念めいたものと怪異が上手く絡み合い、またキャラも立っていて面白かった! 呪扇…三代に渡る扇子職人の話で、もう狂気の世界!そしてかなりグロい💦 それでも引き込まれたのは構成が上手いからか? 三編とも話の完成度が高く満足感あり。表紙もインパクト大! 2019/09/19