文春文庫<br> 午前三時のルースター

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文春文庫
午前三時のルースター

  • 著者名:垣根涼介
  • 価格 ¥641(本体¥583)
  • 文藝春秋(2016/05発売)
  • ポイント 5pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784167656683
  • NDC分類:913.6

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内容説明

旅行代理店で働く長瀬は、得意先の社長に「孫の慎一郎のベトナム旅行に添乗してくれ」と頼まれる。少年の本当の目的は、失踪した父親の消息を尋ねることだった。4年前、商用先のサイゴンで父は姿を消し、血染めの上着が見つかったという。母が再婚する前に父に会いたい! 無事を信じる少年のため、現地の娼婦やカーマニアのタクシー運転手と共に父親を探す一行を、何者かが妨害し続け……そして辿りついた真実とは。サントリーミステリー大賞・読者賞ダブル受賞作!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

502
デビュー作とは思えない完成度だ。疾走するプロット展開、物語のスケール感、魅力的な登場人物たち、情の熱さ、随所に漂う抒情。タイトルもいい。いずれをとっても、エンターテイメント小説としては一級品である。エンディングがまた何よりもいい。明るいハッピーエンドではなく、この人生に耐えることを要求するのだから。これこそが、まさにハードボイルドの真骨頂であると言ってもいい。そう、寂しさに耐えてこそハードボイルドなのだ。一篇の小説の中にこれだけの材料を詰め込みながら、整然とした結構を構成する力量は相当なものである。2019/04/08

しんたろー

193
垣根さん3冊目はデビュー作を勧められて…失踪~死亡したとされる父親を探す息子・慎一郎と旅行社営業マン・長瀬の物語…下手なハードボイルドにありがちな格好を取り繕った表現や変な蘊蓄はなく、スピーディな展開で軽快に読める青春ドラマだった。主役の二人は勿論、脇役のビエン、メイ、源内の三人も魅力的だし、単なるサスペンスに終始せず、切ない人間模様があるのも好み。ベトナムには行った事がないが、街の匂いや人々の息吹を感じられる文章なので観光とは違った気分を味わえたのも嬉しい。さて、ヒートアイランドシリーズを再開しよう♬2019/10/01

🅼🆈½ ユニス™

161
2000年第17回サントリーミステリー大賞・読者賞をダブル受賞した作品🏆。しかも、これがデビュー作と知った私はダブルビックリ。途中から読めて来た内容にお構いなく引き込まれて行く。シブい’ヤツ‘長瀬が繰り広げる真実を求めて始まる疾走感のあるハードボイルド。中盤から後半にかけてはやや息切れした印象で退屈局面も無くはなかったが、それでも結果的には面白かった。👍2018/07/05

あさひ@WAKABA NO MIDORI TO...

137
つまらなくはないが、これまで魅力的な垣根作品をぐるっと読んできた上での本作となると、正直ちょっと物足りないかなという印象も。とはいえ、ベトナムを舞台とした少年期から一歩成長するための冒険小説として、個性的なキャラクターを絡めたその展開は魅力的で、とりわけラストの腕時計を投げ捨てるシーンなんかは、なるほどと既に備わっていたのだろう垣根さんの実力の片鱗を覗かせるものだと思う。垣根さんのデビュー作にして、サントリーミステリー大賞受賞作。垣根ファンなら、読んでおいて損のない作品。2020/01/18

のり

135
四年前にベトナムで失踪した父親の消息を探る為に、16歳の慎一郎と、旅行代理店の長瀬達はベトナムへ…現地で協力者を得て捜索するが、様々な妨害にあい、命の危険度も増す。全容が明らかになるまでの複雑に絡み合う糸。失踪の原因。悲しみと、歓びが入り混じった慎一郎の心の奥底は…多感な時期に無理矢理、大人の割り切りを迫られた形となるが、芯の強さが、この先を切り開いていくだろう。2018/01/09

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