内容説明
流行作家カレンのニューヨークの邸内に美しい日本庭園が造られた。だが、まもなく彼女はその庭をのぞむ一室で怪死を遂げる。窓には鉄格子、開かずの扉、事件現場に出入りした者は誰もいない……。この密室で起きたとおぼしき事件に、名探偵エラリイ・クイーンが超絶論理で挑む。<国名シリーズ>堂々の最終作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kiyoshi Utsugi
41
国名が出てくるのが必然的であることから、最も国名シリーズらしいとも言われている作品。 流行作家のカレン・リースは、昔日本に住んでいたことがあり、とても日本文化を愛していてニューヨークの自宅の庭は日本庭園になってます。 そんな日本庭園をのぞむ一室で、癌の世界的な研究者であるジョン・マクルーア博士と結婚寸前のカレンは怪死を遂げます。部屋は完全なる密室。 一体どのようにして殺されたのかをエラリー・クイーンが解き明かすというもの。 小泉八雲や東京帝国大学の名前が出てきて、日本人としては、「おっ!」となります。 2021/09/28
ねむ
14
日本育ちの女性人気作家が出てくることもあり、随所に日本趣味がちりばめられた作品なのだけど、日中戦争の頃が舞台なのでアジア全体への理解もかなり雑でステレオタイプ。いま読むと「あ~あ」と思うけれども、当時はこれがアメリカ人の普通の認識かと思うとそれもまた味わい深い。小説しては文章がちょっと繋がっていないようなところがあったり、倫理的にどうなのと思うところがあったりで、大傑作というわけではない気がする。それもまた時代が違うということなのか・・・2023/12/24
ホームズ
11
国名シリーズ最終作。原題では「日本」のも文字は削除されてしまったけでど一応「日本」が付いているとうれしいですね(笑)内容もいい感じです(笑)「読者への挑戦状」が無いのは寂しいですが物語の展開は良いです(笑)最後にああいった真相を残しているのは驚き(笑)2010/09/22
barcarola
6
「え?これで解決?」と思わせておいてどんでん返し(というかエピローグというか)に流れ込むのだが……なんだか後味が悪い。2022/04/24
浅木原
6
イケメン医師とロマンチックな出会いをし恋に落ちたエヴァ。だが父の婚約者が殺され、犯行が可能なのは自分だけという大ピンチに! そこへ現れた謎の粗野な私立探偵が、なぜか彼女を救うために手を貸してくれ……ってこれ少女漫画かよ! 国名とライツヴィルの中間地点みたいな作品だけど、問題はどっちかというと両方の弱点の合体になってることで、いまいち面白くない少女漫画展開からのさほど面白みのない真相なのでううむ。オチまで含めてライツヴィルへ向けてこの時期のクイーンの試行錯誤の一環ってところですか。2017/01/14