内容説明
「ヒトゴロシ」。吉住にかかってきた電話。それは一方的な罵りだった。彼は身に覚えのない中傷に怒り、表示された番号に掛け直すのだが、それは使われていないものだった……。その電話がきっかけで吉住は一つの事件を思い出していた。自分が紡がなければならないもの、闇に魅入られてしまった者たちの物語のことを――。常識のように、現実を浸食していく異形の恐怖を描いた傑作短編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
miroku
18
「ヨブ式」と「死せるイサクを糧として」が好み。2017/06/02
けいちゃっぷ
11
2年くらい前にツイッターでどなたかが褒めていたので速攻で入手したが、そのまま寝かせてしまった一冊。 ようやく手に取って何日か前に読み終えたけど、恐ろしいことに全然印象に残っていない。 ホラーだった気はするのだが。 寝かせている間に毒気が抜けてしまったか・・・。 331ページ 2015/12/02
Ai
6
因果もなく、ひたすら無辜の人が非情な目に遭わせられる描写は流石。特に、『ヨブ式』『死せるイサクを糧として』など。聖書をベースにした牧野さんのホラーはおもしろい。『幻影錠』はクトゥルーな肌触り好き。2019/01/14
RE:PIRO
6
無慈悲な悪意の集積したような話。ホラーの種類としてはオカルトになるのだろうか。全ての話が救いようがなくうまく説明できないようなものもあるが、説明できないものだからこそ余計に恐ろしく感じるのかもしれない。ヨブ式の救いのなさが大好きです。2013/08/31
眠る山猫屋
6
再読。かなり良かった。ある陰惨な記憶を共有する三人の男たちにかかってくる「ヒトゴロシ」という電話。三人がさまよい招かれるのは、悪意が増殖する闇の世界…7篇の短編をプロローグとエピローグで束ねた形式だが、共通項は「悪意は増殖する」という所が、救いがない。救いがない割には、後味は悪くないかもしれないが。2011/08/29