内容説明
みすぼらしい雑種の捨て犬を自宅に引き取った日、私は「おかあさん」になった。だが、コマと名づけた愛犬が大人しかったのはその日だけ。盗み食いはする、抜け毛による大気汚染は深刻、いろんな言いつけが守れない。恩知らずな我が子とのバトルな日々は、けれどこんなにも素晴らしい喜怒哀楽に満ちている。
目次
コマが来た！
セカンドおかあさんのこと
食いしん坊コマ
コマとお散歩
コマは恩知らず
コマのコンタミ
誰でもいいの？
コマの居場所
コマとお友だち
コマの運命
おおむね、いいコ
コマはシンプル
性悪女…？
甥っ子 シンシン
コマへの手紙
コマのおかあさん
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
347
おかあさん(鷺沢萌さん)が私(コマ)を初めて写真で見た時に「物凄くビンボくさい外見」と評したそうですね。そんな私なのに、よくぞ一人暮らしのおかあさんのマンションに私を引き取って下さいました。初めておかあさんに会った日のことを、おかあさんはその日のお天気から着ていたものまで覚えていてくれたのですね。私もあの日のことは忘れたことはありません。おかあさんの推察通りに私は以前の飼い主に、この歳(推定年齢3～4歳)になって捨てられてしまいました。時々は短気を起こして叱りつけられたりもしたこともありましたが、⇒2021/01/31
マリリン
37
「アタシより先に死んでくれるなよ...」...久しぶりに手にした著者の作品は、決して小型犬ではないコマとの出会いから日々の生活が書かれていて微笑ましいものの、何とも不思議な感じがした。この作品は「コマのおかあさん(著者)」を著者の視点で書いたものか...。コマは著者の願いを叶えたのかなと思うと切なくなる。遺していく可能性を感じていたのか。以前は気に留めなかったと思うが、「花もて語れ」という朗読をテーマにした漫画を読み、作中にある視点の変化という言葉を知ってから本の読み方が変わった。2021/02/06
コジ
35
★★★★★ 新聞インタビューで雑種犬を飼いたいとの発言が切掛に、元捨て犬コマのおかあさんになった鷺沢萠の愛犬エッセイ。「一度捨てられた犬はなかなか人にはなつかない」などというテレビの受け売りを見事に覆してくれる茶目っ気のあるコマの甘えっぷりと筆者の甘やかしっぷりには顔がほころぶ。本書にはコマへの愛がたっぷり。ここまで愛していたのになぜ筆者は先に逝ってしまったのだ…。買い物先で少しでも離れると、世を儚む如く泣くコマに「大丈夫、お前のおかあさんは決してお前を置いては行かないよ」と慰めてやりたい気持ちになった。2015/12/14
S.Mori
28
作者が愛犬コマのことを書いたエッセイです。コマと言う名前は韓国語で「小さい」を意味するとのこと。犬と一緒に生活する喜怒哀楽が鮮やかに描かれています。コマはかなり大きな犬なのですが、繊細なところがあります。おかあさん(作者のこと)が買い物をするために電柱などにリードをつなぐと、物凄くさびしそうな声で泣きます。「コマとお友だち」が泣かせます。作者の実家で飼っていた犬裕次郎が息を引き取った時、皆が泣きだしました。コマはまわりの人の気持ちを察して、うなだれて動かなかったそうです。優しい犬だと思います。2020/08/13
lonesome
12
十何年か振りに読んだけれどやっぱり涙せずには読めませんでした。そっか、コマは女の子だったっけ、すっかり男の子だと思って読んでたら終盤になって母性の話が出てきてあれってなった。コマを愛してたんだな、痛いほど伝わってくるから余計にその後の出来事が悲しい。「コマがイヤだと言わない限り、コマの居場所はここ、おかあさんと一緒の場所なんですから。」2013/10/22
