内容説明
中国で花を栽培する農夫、インドで柔道を教える黒帯先生、タイで食べ放題の店を経営、韓国の大百貨店の店長、インドネシアの小さな島で真珠養殖、カンボジアの寺で鯛焼き販売を企てる、フィリッピンであらゆるトラブル解決に手を貸す神父――この本に登場する九名の日本人はいずれも、日本以外のアジアに「個人として」生きることを選択した。組織でなく、個人でリスクを背負ったとき、見えてくる風景はこんなにも希望に満ちている! 日本人の新しい生き方のヒントが詰まった一冊。
目次
1 アジア世界にようこそ(中国の大地を花で埋めよ(中国)
サイゴンの部屋貸します(ベトナム)
アジアで一番幸せな国(フィリピン))
2 アジア危機の中で(韓国大百貨店、本日開店(韓国)
バンコク食べ放題物語(タイ)
経済危機から遠く離れた島にて(インドネシア))
3 アジア新世界へ(日本人僧侶の“タイ焼き・タコ焼き作戦”(カンボジア)
マレーシアが“電脳都市”を夢見るとき(マレーシア)
黒帯先生、インドをゆく(インド))
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
329
タイトルこそ「新しい」だが、23年も前に出版されたもの。ただし、内容的には全く古びない。本書はアジアの各地に定住した日本人9人をとりあげたルポルタージュ。いやあ、皆さんそれぞれに素晴らしい。この人たちは、結局のところ日本という狭い枠組みには収まりきらなかったスケールの大きさを持っている。例えば中国の花卉ビジネスの先端を行く人、タイで何件もの外食チェーンを経営する人、はたまたフィリピンでカトリックの神父として活躍する人、あるいはカンボジアの僧侶になった人、インドの柔道師範。皆さんほんとうにあらためて凄い!2022/08/04
ゆいまある
79
新しいとは言っても、既に20年以上前の話。アジアの各地に根を下ろし豪胆に生きてるカリスマ日本人数人への密着取材なので、時代を感じさせない面白さ。取材対象が全員男性なのは、野村さんの超密着取材の性質上、異性だとやりにくかっただけかなとも思う。アジアと一言で言っても国によって随分文化は違う。フィリピンの助け合いの精神は羨ましいし、カンボジアでは人付き合いが難しそうだ。文化大革命は老人を大切にするという儒教の教えも破壊した。恐ろしや。2022/10/15
*takahiro✩
4
バンコクや台湾で食べたご飯は美味しかった。返還前の香港の熱気や韓国の土産物店で値切ったのも良い思い出。でもマニラで言われた一言が忘れられません。スペインはキリスト教をアメリカは英語を残してくれたが、日本は何も残さなかった。本当は何も残さなかったのではなく取り返しのつかない大きな不幸を残したのに。日本に戦後が訪れるのは、戦中に日本軍がアジア各国で犯した悪事の数々を全て調査し、日本国内と世界に公表し、国を挙げて反省の意を表した時だとつくづく思いました。隠蔽し、誤魔化し、2024/12/24
よしだ まさし
3
野村進『アジア 新しい物語』文春文庫を読了。 アジアに進出してさまざまか活動をおこなっている日本人に密着取材したノンフィクション。 オリジナルは1999年の発行。『アジア 新しい物語』というタイトルなのだけれど、ぜんぜん新しい物語ではない。だけど、いまでも充分に面白いし、内容が古びているという感じはしない。2016/03/11
タヌキバヤシ
2
アジアで頑張る人々の話。ノンフィクション。おすすめ2008/08/08