内容説明
鍛冶屋の息子として生まれ、自動車修理工場の丁稚から身を興した天才技術者・本田宗一郎。金を集めることにかけては天才的な経営者・藤沢武夫。二人の運命的な出会いがホンダを創り、ホンダを独自の文化を持つ世界企業に育て上げた。ところがF1の世界チャンピオンを目指すホンダの足元を欠陥車騒動が揺るがした。藤沢は、水冷エンジンを嫌って、あくまでも空冷エンジンに固執する宗一郎への”クーデター”を敢行せざるを得なかった――。第27回大宅賞受賞作品。
目次
第1章 ヘッドハンティング
第2章 二人羽織り
第3章 抱き合い心中
第4章 凡庸の団結
第5章 ドンの重し
第6章 万物流転の法則
第7章 戦争を知らない子供たち
エピローグ 語り継げても受け継げない経営
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
154
第27回(1996年) 大宅壮一ノンフィクション賞受賞。 ベンチャーから出発して、日本の代表する企業となった ホンダ・ソニーを題材にした本は多いが、本書は 綿密な取材と、確かな筆致で、読者に真実を 伝えてくれる。 一人のカリスマ没後、その遺伝子はどう引き継がれて いくべきなのか…「会社の寿命30年の法則」の意味も 含めて、迫力ある物語に仕上がっている。2014/06/29
ジェンダー
39
読みごたえはあるけれどちょっと長すぎる感じを受けるのは僕だけでしょうか?でも作者がとことん調べてホンダの在り方、経営、モノづくり、日米の自動車業界の歴史までわかりやすくまた伝えたい、知ってほしいと言うのが伝わってきます。ホンダに関する作品は何冊も読めせてもらっていますが、ここまで調べ上げて詳しく書かれているのはなかったように思う。ホンダ自身ベンチャー精神が受け継がれて今まで来てると思うけれど創業者が偉大すぎてかえって重荷になっていてしかも大企業病。大きくなると官僚的になる。ホンダでも例外ではなかった。2014/07/04
ともくん
4
この本一冊で、ホンダの繁栄と衰退が目に浮かぶように想像できる、すばらしい本です。本田宗一郎を神格化している本は沢山あるのですが、この本に限って言えば、そんなことはありません。なかでも、晩年は老害となってしまった本田宗一郎が空冷空冷と騒いでいて、河島喜好以下の役員が頭を抱えているとき、見かねた藤沢武夫が引導を渡すところが、なんともリアルで良いですね。2014/07/21
ハパナ
3
ホンダという会社の、草創期から成熟・衰退期を”人”に焦点を当てて書き上げた本でした。1995年に出版されているので、20年前の本になります。電池を背負ったロボット”アシモ”が発表される前の年ですね。こだわりが人を動かし、金を集める。それが成熟と共に足枷になって行った面もあるのだろうか。現在のアップル社も似た様な境遇に見えてくる。 近年ではホンダジェットの開発や上級車になるレジェンドの復活など、独自方向に向かって自主独立を保っている様に思います。 2015/09/02
150betty
3
(☆4)“私は老人は社会の一線から早く身を引くべきだと考える。今の世界は年寄りの世間知らずだ。”2014/03/04