内容説明
男は“獣欲”を満たすために棍棒を振るって女を犯し、“食欲”を満たすために他者の食物を強奪して殺す……。“弱肉強食”時代の人類の始祖・原始人の欲望むき出しの日常を描いた衝撃の表題作をはじめ、束縛されることのない異様な社会を描いた「アノミー都市」、次々と不運に巻き込まれる男の物語「おれは裸だ」など独特の筒井ワールドな作品に、小説という枠を超えたメタ小説ともいうべき「怒るな」「読者罵倒」「筒井康隆のつくり方」を加えた、元気の出る作品13篇を贈る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はらぺこ
32
短編集。これって実験的な短編を集めたんですかね? 『読者罵倒』『抑止力としての十二使徒』に五郎丸っていう苗字が出てきた。もしも出版当時に読んでたら、適当に作ったウソの苗字やと思ってた筈やから今読んでタイムリーやったんかも(笑)2016/01/26
メタボン
23
☆☆☆★ 大げさに言えば短編小説の可能性を追求した作品集。実験的要素が強い。その中でも筒井的な惨事に陥っていく「おれは裸だ」が一番面白く、ところどころ吹いた。知能がないゆえの残虐性を表す「原始人」と、知能が行き過ぎた未来都市の残酷性の「アノミー都市」が好対照であった。「怒るな」の行き当たりばったりさも良い。2018/05/07
志摩子さん
8
「読者罵倒」が一番印象的でした。もっと罵倒されたいです(^_^;)2016/06/04
袖崎いたる
4
原始人よかったな。それと他者と饒舌。読者をひたすら罵るやつはよくもまぁそれほどもたせたなぁってほどに罵倒しつくしているものだから、怒られている側ではあれど、そのバリュエーションに感心する。文学的な滋味の濃ゆいのもあるし、さすが。2022/05/17
Takeshi Kambara
4
筒井氏の短編集。その登場人物の殆どが一般的なモラルや理性といったものを持ちあわせておらず非常に奇天烈な展開をむかえる話が多かった。いくつか実に下品な話もあったが不思議と嫌悪感は抱かなかった。「読者罵倒」という話では最初から最後まで読者へ向けて罵詈雑言が吐かれていたのだが、ここまで徹底的に酷い事を書かれると逆に清々しく感じるのだから不思議だ。 この著者は天才なのかも知れない。2015/04/23