内容説明
負債をかかえて逃避行をする谷原は、同宿の設計士と“計算狂”の美女についての話をするうち、大金儲けのヒントを得る。それは、石見銀山坑内発掘と高圧線下の細長い土地の利権にかかわるからくりであった。早速、電力会社から1億2千万円の補償金を獲て、さらに勝負に出ようとする。しかし往年の殺人疑惑が谷原殺しを引き起こし、その接点には、「数字のある風景」があった……。巨匠の傑作長編推理。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しーふぉ
22
石見銀山が今のような世界遺産に認定され観光地になる前の話し。松本清張が2時間ドラマによくなる訳がよく分かる。場面転換や謎の女性など映像にしやすいんだろうな。2022/10/30
jima
22
松本清張が大好きだった父と、この本を読んだ後に高圧送電線の下の土地について話をしたのを思い出した。懐かしい。2020/12/05
グラスホッパー
15
山陰での出会いや展開が広がって、どう収束するか、最後まで楽しく読んだ。ミスリードがよかった。数マニア、石見銀山やヨーロッパの石畳について、興味深かった。2023/08/13
ナイトロ
8
話が動き出すまでは、必要なのか疑問な細い描写がこれでもかってくらい続くので読むのが辛い。でも動き出してからはするする行ける。殺人そのものは本筋にとっては余り重要ではない、スケールの大きな話。推理要素は余り多くない。この人•この件がこう絡むのかと驚かされる。ただ矢部の勘は鋭すぎやしないか。2016/05/31
かみふうせん
7
山奥の宿で出会った宿泊客の3人が話のストーリーを繋げていく。途中から計算狂について音楽家達の本を調べたりするのが今後どんな繋がりがあるのだろうって思ったところ、最後には綺麗に繋がった。最後は案外簡単に終わってしまってビックリ。2024/02/10