内容説明
「三船久蔵は単なる選手ではなくて、求道的であったという点でも真の柔道家であった。……書き終えて、一業に秀でた人間のすさまじい闘志にふれた感動が、ずっしり胸底に残っている」(あとがき)。一五九センチ、五十六キロの体ながら、あくなき技の追求者として空気投げ、球車、踵返し、諸手刈、三角固めなどをつぎつぎに発明し、生涯無敗を誇った三船久蔵十段。負けじ魂と精妙な技で日本柔道を造りあげた不世出の柔道家の堂々の一生を、同郷の直木賞受賞作家が熱愛をこめて綴る。
感想・レビュー
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なる
30
柔道における総本山である講道館で、百年以上の歴史がある中たった十五人しかいない十段の段位を持つ人物の一人である三船久蔵。生涯無敗と称した彼の人生にスポットを当てた伝記的小説。強くなるには投げられる経験が必要と言われる柔道において彼は本当に生涯無敗だったのか? やんちゃで暴れん坊だった片田舎の少年が柔道に出会って日本一を目指して行く話。新選組の元隊士と取り組んで柔道への想いを深めたというエピソードが印象的。0.0008%の狭き門である十段位を持つ男の、実力に裏打ちされた傲岸さをも包み隠さずに描いている。2022/06/28
出世八五郎
0
空気投げ・・・食う気なげ・・・