文春文庫<br> 富士山頂

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文春文庫
富士山頂

  • 著者名:新田次郎
  • 価格 ¥509(本体¥463)
  • 文藝春秋(2016/05発売)
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  • ISBN:9784167112011
  • NDC分類:913.6

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内容説明

気象庁の長年の悲願だったレーダーにようやく大蔵省の予算がついた。これが実現すれば、正確なデータが迅速に入手でき、より正確な気象予報ができる。しかし、激しい乱気流が渦巻き、天候の変わりやすい富士山の頂にどうやって重い資材を運び、レーダーを建設し、東京の気象庁まで無事にデータを送り届けるのか。2年間でレーダーを完成させなければならない。気象庁とメーカーの戦いはこれからだ。現場の担当者・技術者たちの苦闘を描き出す、異色の山岳小説。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥

66
東京オリンピックを目前にした日本、もう1つのビックプロジェクトが進められる。富士山測候所への観測レーダーの設置だ。年間に作業可能な日は僅か40日あまり、高山病等過酷な作業条件、それだけでなく各省庁間の軋轢等余計な障害も排除しなければならない。中盤のヘリの積載能力を超えた観測ドームを吊り上げて一発勝負で設置する作業は正にプロジェクトX。主人公の葛木は著者の分身。富士山測候所に務め、実際にレーダーの建設責任者として設立に携わった新田氏でしか書くことのできない作品であると思う。★★★★2014/09/28

タツ フカガワ

52
800km先の台風の動きを察知する富士山頂気象レーダーが完成したのは1964年。そこに至るまでの苦闘を、当時気象庁でこのプロジェクトの建設責任者だったご本人が書き記したのが本書(作中の葛木が新田さん)で、まるで格闘の記録のように読みました。格闘の相手は予算を持つ大蔵省(現財務省)だったり気象レーダー設置を委託する業者だったり。もちろん富士山の苛酷な環境やそこを襲う台風の猛威と闘う人たちの姿など、ときに這いずり回りながらも偉業に向かって進む男たちの姿に圧倒されっぱなしの一冊でした。2023/09/26

活字の旅遊人

47
ドキュメンタリー小説。三十五年間使用された「富士山レーダー」設置の物語。『ゲームセンターあらし』のエンディングテーマが脳内再生されるが、そんな呑気な話ではない。利便性を追求するために、一部の人間が自然と戦う。そして官庁内の争いや民間企業の受注合戦もあり、ビジネス小説の趣も有する。吉村昭『高熱隧道』と同じような熱量だが、文章はこちらの方が読みやすいか。ブルーバックスの『図解天気予報入門』から本書を知ったが、同時に新田次郎の経歴も初めて知った。ということで役人作家の主人公・葛木は新田次郎そのものなのですね。2022/05/25

ichi

20
富士山頂に気象観測レーダーを設置する一部始終を描いている作品。著者はかつて気象庁に勤めており、実体験を通した内容との事です。山岳小説というよりは、経済小説といった感じでした。どのような経緯であらゆる困難の中、初の気象レーダーが設置されたかを詳しく知ることができました。2014/09/11

さっと

12
NHKの名物番組「プロジェクトX」の栄えある初回放送でも取り上げられた富士山レーダー建設を著者自身がモデルの気象庁役人の視点で描く。建設の第一歩となる予算取りから協力会社選定のかけひき、プロジェクト推進に向けたタテワリ省庁間の根回し・横やり、富士山頂の特殊な環境下で思うようにならない工程、これまでにない壮挙にわく事業従事者たちの心のありようまで丹念に追っている。同様の題材で名作はいくつもありそうだが、役人作家と呼ばれながら国家プロジェクトに邁進する私情、公情の揺れ動きは著者にしか書けないのではないか。2023/02/25

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