内容説明
和服を好み、睡蓮のような楚々とした魅力をもつ人妻・霞は、伊織から愛されて艶やかに変わろうとしている。伊織もそんな霞を好ましく思い、ふたりの情事は大胆さを増してゆく。しかし伊織は現代的な美しさと若さをもつ笙子も捨てがたく、ふたりの間を行きつ戻りつする。別居中の妻との離婚が成立しそうな矢先、笙子が伊織から去ろうとして……。四季折々の花や風景を巧みにとりいれ、男女の愛の精神と肉欲を彩りゆたかに描きだす長編小説、いよいよクライマックス!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はるな
9
霞との関係が進むほど、笙子との関係が危うくなっていく伊織。まあ、そうなるわな。二つの愛を同時に進めるなんてほぼほぼ無理な話で。それなのにわがままに二人を追いかける伊織が哀れにすら思ってしまった。全体を通して、恋愛における男女の意識の差や、男女の愛とは何かが描かれていました。恋愛って難しい……。2019/01/13
コアラ太郎
8
伊織の身勝手さが際立っていたのですが、男ならこんな出会いがあるといいよなと羨ましくも感じます。性の描写は、いつものごとく艶めかしく妖しい雰囲気が随所にあるのですが、嫌らしさはなく、むしろ美しさもあります。オランダの風景も綺麗でアフストライクダイクは、一度行ってみたいです。最初から最後まで、渡辺淳一さんの代表するような小説だと感じます。2015/04/16
カーミン
7
妻や二人の愛人に囲まれて悦に浸っていた伊織だが、やがて妻も愛人たちも彼の傍から離れていく。いい気味だと思うが、それは一時の事。すぐに伊織は次の愛人を作るだろうと匂わせる文書で締めくくられる。このところ、続けて渡辺淳一作品を読んできたが、少々食傷気味。もう少し健全な作品を読みたくなった。2014/12/05
てんちゃん
6
渡辺さんがお亡くなりになったことを悼んで一作品読ませていただきました。以前にも渡辺さんの作品は読みましたが、改めて、彼が愛に生きた方であったと感じました。また、昭和女性を美しく描き出す力は卓逸です。官能小説に限りなく近いところでの、文芸作品。好き嫌いはあると思いますが、やはりこの作家は力があります。安らかなご永眠をお祈りします。2014/05/23
ねぎまぐろ
2
★★★★2025/08/13