内容説明
変心した恋人を殺した医学生は、さらに彼を目撃した友人を殺害し新幹線ひかり号の指定席を利用した“完璧”なアリバイをつくりあげた。聞き込みにきた刑事も、彼の二重、三重の壁にはねかえされるが──。表題作「幻の指定席」ほか「死人が夜ピアノを弾く」「密会のアリバイ」「新幹線ジャック」「不用家族」「小さな密室」「危険な忘れ物」の七篇。女流トリック・メーカーが鮮やかに展開する、さまざまな仕掛けと結末で推理小説のおもしろさが堪能できる秀作短篇集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
浅木原
3
名高い「新幹線ジャック」を目当てに読んだけど、なるほど評判に違わぬ傑作。どうやって新幹線をジャックするのか、そして線路上しか走れない電車からどうやって金を奪って逃げるのか。冴えたアイデアを僅か50ページの中で書ききるスリリングな名品。ただ短編集全体としてはこれ一作だけが飛び抜けてて、あとは「不用家族」も悪くないんだけど、残りは……。トリックが古くなってるのはともかく、謎の設定と真相のサプライズが噛み合ってなかったりして、はあ、としか言い様のないのがいくつか。他の山村作品読もうという気にはなりませんの。2015/04/05
うえぴー
3
初の山村美紗。ミステリのオフ会で薦められたもの。トリッキーな短編が並ぶ中でも、面白かったのは、「新幹線ジャック」「不要家族」の2編。トリックの女王と呼ばれただけあって、考え抜かれた話が多く、謎と物語のバランスが良かったのが先に挙げた2編。それ以外は頭でっかちの感があります。「新幹線ジャック」などは、膨らませれば十分長編を支えられるだけの魅力的な謎だったので、少しもったいない気がしました。2013/03/16
コマンドー者
2
山村氏の昭和50年代前半に発表された短編を集めた作品。いずれもアイデアに富んだトリックが堪能できる傑作揃いで、特に新幹線ジャックは設定も派手でアイデアも秀逸である。2021/06/19
松井和翠
2
100位【A】「新幹線ジャック」・本当に山村美紗か、というぐらい文章・設定がしっかりしている。○○は?、という点が唯一引っ掛かるが、見事な作であることにかわりはない。2014/10/17
松井和翠
1
第九編。『新幹線ジャック』。「ウエイト・フォー・ヒュー・ミニッツ」2012/03/25