内容説明
狂瀾怒涛の太平洋全水域において武勲赫々、帝国海軍の花形と謳われた高速戦艦、比叡・霧島・金剛・榛名。その名艦の歴戦のさまを、ミッドウェー、南太平洋、ソロモン沖、レイテ沖等の壮烈な海戦に追いながら、大艦巨砲の戦艦群が辿った栄光と悲劇的末路を描破する長篇海戦記。ほかに真珠湾奇襲作戦を立案した黒島亀人少将の波瀾の後半生を活写した「仙人参謀」を収録。
感想・レビュー
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シャル
9
金剛型戦艦四隻の戦いと、その最期。戦争初期の乗員の高揚感と、苛烈な作戦と戦局の変化によって次第に追い詰められる悲壮感の中での意地と奮戦、そして最期の時。艦長をはじめとした乗員たちが艦のため、そして軍と戦争と目の前の戦いのためになにができるのかを考えて動き、最期をどう迎えたのか。艦の最期とその時の人々の行動に焦点を当てられており、敗北の空しさや、自分の一部でさえあった艦との別れの無常さを感じさせられる。一方で後半に掲載されている仙人参謀は黒田亀人少将という戦中後の個人を浮き彫りにし、その対比が印象に残る。2014/04/30
とく
1
太平洋戦争で最も活躍したと思われる金剛型戦艦四隻の戦いの記録を描いた本。世界初の真珠湾の航空機による攻撃、戦艦による陸上施設への大規模夜間艦砲射撃、戦艦対戦艦の艦隊戦、などの“伝説”の戦いに参加している彼女達の軌跡を知ることは、帝国海軍の戦いの軌跡を知ることにも繋がると思う。併録の黒島亀人の短編も終戦〜戦後始めの雰囲気が出てて、良かった。2013/12/09
紺
0
老朽艦ながら、高速の戦艦として太平洋戦争で活躍した金剛型戦艦4隻。比叡が観艦式で御召艦を勤めた話、真珠湾に参加した比叡・霧島の話。ミッドウェー海戦で空母を護衛した榛名、霧島の話。ガダルカナル島のヘンダーソン飛行場への陸上砲撃を行なった金剛、榛名の話。同じ所を砲撃に行ったサボ島沖で乱戦をした比叡・霧島の話、ここで比叡沈没。その後同海域の連戦で霧島沈没。不沈のジンクスがあった金剛も潜水艦の魚雷で沈み。最後に残った榛名は油が切れ江田島で動けぬまま奮戦したが、終戦の18日前に大破着底、そのまま戦後解体された。2013/11/12
葦
0
榛名と比叡の最後が切なく無常だった 2013/08/08