文春文庫<br> 父の詫び状

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文春文庫
父の詫び状

  • 著者名:向田邦子
  • 価格 ¥519(本体¥472)
  • 文藝春秋(2016/05発売)
  • ポイント 4pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784167277017
  • NDC分類:914.6

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内容説明

宴会帰りの父に叩き起こされて夢うつつに土産を食べる福助頭の弟、母に威張り散らす父の声、転校した初日に教室に向かう気持ち、来客の多かった我が家の忙しい正月、温かいおひつの上で泣き泣きやった学校の宿題、おやつに食べた懐かしい“ボールとウエハス”、銀座に出かける日のおめかし、途中までは大成功だった初アルバイト、黒い服ばかり着るので黒ちゃんといわれた若い日々……昭和の「懐かしい家庭」を卓越した記憶で鮮烈にユーモラスに描く、向田邦子の第一エッセイ集。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

シブ吉

102
読みやすいエッセイの筈なのに、読み終わるまでにとても時間がかかってしまったのは、一話一話に引き込まれ、読み終わるのが惜しくなってしまったから。出だしの言葉に「前のめり」になって入り込んで行く。『父の詫び状』や『昔カレー』『薩摩揚』『鼻筋紳士録』などなど、この先にはどんな「展開(人生)」が待っているのか?と、ますます気になった挙句、一話を読み終えるたびに「上手い」思わず唸る。文章の持つ「魅力」にまんまとハマり、情景を思い浮かべながらの読書は本当に至福でした。『あとがき』までが愛おしい一冊です。2014/03/04

優希

82
再読です。懐かしい昭和の家庭の香りが立ち込めていました。父のいる風景と息遣いがユーモアを交えて描かれ、昭和の生活史としても見ることができると思います。さりげなく語られる日々が愛おしく、この文章が好きだなと感じずにはいられませんでした。2018/05/02

さと

82
「男どき 女どき」に続いて2作目。向田さんのちの茶の間を覗いているような気分になる。厳格な父親に気を遣いながら、家族皆がそれぞれの役割を楽しみながら演じているホームドラマそのもの。一方で、綴られる記憶の中にある「死」。戦争も含め目の前を通り過ぎていった命を感じないではいられない。子供ながらに受け入れながら「生」を感じていらしたのではないだろうか。一瞬一瞬の映像や感情が、独特の感性の中で熟成されていったのだろう、向田さんの微笑ましいこだわりとなって私の心を和ませる。2015/08/04

ふう

77
文中に幾度か「持ち重り」という言葉が出てきます。この本を読みながら、こじつけて「読み重り」のする作品だなと思いました。どの章もすらすらとは読めず、あゝそうだったなと共感したり、ていねいに生きてきたのだなと感心したり、ときにはこみ上げてくるものもあったりして、時間がかかりました。記念写真の章。『家族七人のうしろに、写ってはいない桜島の姿が見えてくる。~夏みかんや枇杷の匂いがしてくるのである。』1枚の写真に、家族への愛情やもう戻れない時間が映し出されているようで、年をとり、故郷を離れて暮らす身に重なりました。2014/10/16

mint-s

69
昭和53年に発表されたエッセイ集。テレビドラマを書き続けておられた経験からかどの話も情景が鮮明に浮かび上がる。漠然とした表現が全くなく潔くさっぱりとしていて、解説にもあったが職人技のようだ。どれも昭和感満載で面白く、「お八つの時間」は私も母が作ってくれたホットケーキやパンの耳のドーナツなど思い出して懐かしくなった。「父の詫び状」など頑固で怒りっぽいお父さんとのエピソードがとても面白かった。沢木耕太郎さんが解説を書き終えた昭和56年8月22日に飛行機事故があったそうだ....。 2021/01/03

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