内容説明
〔競馬シリーズ〕明かりがまったくない。力のあるエンジン音、軋む音。ここは一体どこだ? 余暇をアマチュア騎手として過ごす公認会計士ブリトンにとってその日は晴れやかな一日だった。出場した障害レースで優勝したのだ。ところがレース直後に何者かに誘拐されてしまった。ブリトンは脱出を決意したが……。/掲出の書影は底本のものです
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
bookkeeper
29
★★★☆☆ 再読。主人公は会計士兼アマチュア騎手。大レースに抜擢されて思いがけず勝利し、余韻に浸る間も無く拉致・誘拐されてしまう。誰が、何の為に? 清廉な会計士として不正を暴いてきた為に恨みを買っており、容疑者が沢山。ホワイダニットの興味とレースの臨場感、そして珍しいダブルヒロインが楽しい。犯人達に捕まって唾を吐きかけられたり、結構格好悪いか?と思わせて、ヒロインへの思いやりが分かるラストは流石フランシス。その上ヒロインを家に誘うのもやっとな内気さ。「ぜひ、お茶にきてくれ」って欧米か?イギリスか。2019/09/15
たこやき
11
自分を誘拐・監禁したのは誰か? そんなところから始まる物語は、デビュー作から著者の作品を読んだ身としては、ここまでで最もフーダニット要素が強い話だと思う。過去に不正を告発した存在の報復か? いや、しかし……。狭い世界において、会計士というのは、その地域の企業などのつながりを知っている、という説明なども含めて。現在にも通じる部分が多い作品だな、と感じた。2013/04/18
bapaksejahtera
10
順に読んでいるが駄作のない事この競馬シリーズを上回るものはない。毎作品多彩な職業で登場する主人公達は競馬への関わり方はまちまちでその点でも退屈はさせない。本作の主人公は何と会計士。アマチュアの騎手ではあるが、ある競馬関連地域の各種業種に業務上深く食い込んでいることから顧客間のLINKの不自然さから大掛かりな脱税に気づく。他作品でも関係者の会計のルーズさを描く所はあったが、サブテーマでやや微温的扱いが感じられた。シリーズの主人公達はいずれも正義感に溢れた融通の効かぬ所がある。本作では遺憾なく痛快に発揮された2022/02/12
moe
4
不正を許さない会計士。船に弱く、好みの女の子にはもっと弱い…設定は正直あまりワクワクしませんでした。でも、主人公がわけもわからず何日も監禁されている時の気持ち、やっと逃げ出しても捕まりそうになった時の必死な気持ち、次々と起こるピンチの時の追い詰められた時の描写はなかなか読ませます。シリーズをコンスタントな水準で維持するのは、やはり作者の力量だと思いました。2010/08/27
Jack Amano
3
10年以上前に一度読んでいるが、再度、読みたくなって、古本を探して読んだ。原作は1977年に書かれたもので、この文庫も1982年に初版が出ている。競馬シリーズとされているが、障害競馬で、日本では馴染みのないもの。実際の競馬シーンは少ない。著者のディック・フランシス自身が障害競馬の騎手であるからこそ書ける描写が多い。古さを感じさせないストーリー展開が関心を惹きつけてやまない。今回は、会計士が不正をあばくもの。主人公はタフだし、格好良い。シリーズ45巻のうちの16巻。まだまだ楽しめます。2024/01/21