ハヤカワ・ミステリ文庫<br> 災厄の町

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ハヤカワ・ミステリ文庫
災厄の町

  • ISBN:9784150701123

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内容説明

失踪して三年、突然戻ってきたジムと、許婚のノーラは何事もなかったように結婚した。が、ある晩、ジムの筆跡で殺人計画の詳述された手紙が発見され、ノーラは卒倒した…… 美貌の三姉妹を持つ旧家に起った奇怪な毒殺事件。ライツヴィルを舞台に錯綜する謎と巧妙な奸計に挑むクイーンの名推理。本格の代表傑作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

夢追人009

141
日本映画「配達されない3通の手紙」の原作ですが、この辺からクイーンは昔の国名シリーズの頃の複雑さと大幅に変わってトリックがシンプルであっ気なく歯応えが全くなくなってしまうのですね。私は若い頃に読んで流石のクイーンも力が落ちて耄碌したのかなと残念でしたが、今日ふっと思ったのは著者が若い頃のエラリーの事件に対する第三者的な立場から自分の愛する町ライツヴィルのある家族の人々に接して親身になる事で彼を単なる推理機械でなくより人間的に成熟させる狙いで、推理の質を落としたのはハードボイルドの影響もあった気がしますね。

財布にジャック

65
架空の町ライツヴィルが舞台になったクイーンの有名な作品だけのことはあり、最初から最後まで楽しめました。三通の手紙がポイントとなり、読者を煙に巻き、容疑者が少ないのに、こういう展開とは流石としか言いようがありません。トリックや犯人当てよりも、町の雰囲気や人間関係メインに読み進めても、実に良く出来た作品でした。ただ、あまりにもラストまで真実が明かされないので、気が短い私はちょっとイライラしちゃいました。2011/10/09

藤月はな(灯れ松明の火)

36
結婚前に花嫁を捨てて出奔した花婿が帰ってきた。ひょんなことで二人の仲を取り持つキューピッドとなったエラリー(訳あって偽名)。しかし、花嫁の宝石を勝手に質流しにする花婿の行動や花嫁が莫大な遺産を相続した事実から花婿が花嫁を殺そうとしているという疑惑が流れる。そして殺人が起きるが殺されたのは花婿の身内だった!トリックは単純ですがそこに絡まる人間ドラマは秀逸。一夜にして街の敬っていたはずの皆に「正義の代弁」というお題目の下で攻撃される醜悪さもリアル。仄かな恋に破れた(?)エラリーが印象的でした。2013/02/16

yucchi

24
【図書館本】エラリー・クイーンのライツヴィルシリーズ第1弾。なんだかエラリーがチャラい感じに思えるのは、人物描写が国名シリーズよりも掘り下げられているからなのか? 早い段階で犯人の目星はつくが、中盤以降は物語に引き込まれ、ラストは切ないながらも一筋の光が見える終わり方になっている。個人的にはクイーン警視が出てこないので、少し物足りない(´・_・`) ライツヴィルは怖いと思いつつ、現在の日本だって同じかこれ以上だよな。2014/08/28

Tetchy

21
『スペイン岬の秘密』でも見られた、真相を明かすこと、犯人を公の場で曝すことが必ずしも正義ではないのだというテーマがここでは更に昇華している。知らなくてもよいこと、気付かなくてもよいことを知ってしまったがために苦悩している。興味本位や己の知的好奇心の充足という、完全な野次馬根性で事件に望んでいたエラリイが直面した探偵という存在の意義についてますます踏み込んでいる。ただ残念なのはクイーンが最後に披瀝する真相を裏付ける物的証拠が何らないことだ。状況証拠を積み重ねた帰納的推理に過ぎない。2010/05/06

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