内容説明
女武芸者の佐々木留伊が、夜の町に出没して<辻投げ>をおこなうのも、つまるところは、男を漁り男を得、子を生み妻となり母となりたいがためのことなのである──という書き出しで始まる「妙音記」は、美しく強い女の人生の転機をユーモラスに描いている。ほかに試合で負けたものは勝者の弟子になるという、奇怪な申し出で闊歩する男たちを描いた「秘伝」など、小気味よい江戸の日常を背景に、エロスに根ざす人間の欲望を個性ゆたかな剣客の姿を機智をもってとらえた七篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
sagatak
12
いまさら初池波正太郎^^; さすがに大御所だけあり話に引き込まれる。短編集でどれも面白かった。ただ少し驚いたのは最後の青山熊之助が実在人物の話と思いながら読んだところ、全くの創作とのこと。解説にも書いてありおそらく発表のとき断ってあったと思うが、今読む自分としては騙された感が。司馬遼太郎があまり有名でない人々を調べ上げ創作を加えて書くので、こんな人もいたのかとワクワク読むのに慣れた身にはちょっと。ただ、この話も伊藤博文の人柄を表現するための一人の役者として架空の主人公をあてたと思えるのでよしとしよう。2015/09/06
Richard Thornburg
10
感想:★★★ 8篇で構成される短編集です。 剣客とタイトルにはありますが、白刃が火花を散らすような真剣勝負に関する描写というよりは、武芸に対する精神面的な描写が多い印象を受けました。 そんな中でも印象的なのは、1作目の『秘伝』でしょうかね。 秘伝と聞くと踏襲する者の心構えを思い浮かべそうなのですが、秘伝を伝える側からすれば奥が深いと思いました。 どの話にも武芸に対する『悟り』に近いものを感じるのですが、悟りそのものは弟子に伝授できるものではなく、肌で感じ取ってもらうというのが王道なのでしょうね。2016/05/07
オールド・ボリシェビク
6
1960年から69年までに発表された8短篇を収めている。直木賞受賞直後だから、池波正太郎の意気込みも伝わってくる。のちの「鬼平犯科帳」「剣客商売」シリーズの原型ともいえるものも含まれている。「妙音記」の滑稽味、「寛政女武道」の悲惨、「かわうそ平内」の軽みなどが印象に残るが、サイ顎に収録されている、幼き日に味わった屈辱を胸に剣の達人になる男の生涯を描きつくした「ごめんよ」が圧倒的な面白さだった。2026/01/24
DONA
3
久々に再読。様々な剣客の人生や生き方、信念などが描かれています。どれも面白く読めました。池波さんの話は読みやすいです。2012/02/10
s
3
剣に弓に手裏剣に柔術にと それぞれ得物は違えど超一流である武芸者たちの人生を書いた短編集 並はずれて腕が立つことが立身出世や幸せに繋がるわけでもなく 本人たちもそういう生き方で満足かと問われればそんなこともなさそうなのがせつないですね2009/03/18




