内容説明
北斎も描いた「さざえ堂」は、じつは富士山を向いていた!都心・赤坂には、なんと茅葺屋根が並んでいた!絵図・古地図・文献史料を駆使し、風景の細部から都市江戸の実像を読み解く。
目次
1 愛宕山
2 江戸城
3 霞ヶ関
4 永田町
5 日本橋
6 築地
7 赤坂
8 御茶ノ水
9 羅漢寺
著者等紹介
金行信輔[カネユキシンスケ]
都市史研究家、学習院女子大学非常勤講師。1966年生まれ。東京大学大学院博士課程修了、博士(工学)。江戸・東京の都市史を中心に調査・研究を行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶんこ
42
日本で写真が撮られるようになったのが幕末。激動期の異国の地で、撮影をしていると危害を加えられそうになったりしながら果敢に撮影に挑んだベアトとモーザー。当時の都市風景を写真に残した彼らには、最大の賛辞を贈りたいと著者が書いておられます。本当にありがたいです。面白かったのが御茶ノ水。神田川との崖がまるで深山幽谷のようです。著者がこの本を執筆する原点は、多くの人に伝えたかったから。かなり詳細に調べられた様子が伺えて感服。読む事がが出来て著者と、そしてお気に入りさんに感謝です。2018/10/21
アメヲトコ
9
幕末の愛宕山からのパノラマと、明治初頭の英字新聞『ファー・イースト』掲載の写真計20枚を詳細に読み解き、江戸の景観を復元する試み。さらりと書いてあるようですが、適当なキャプションしかついていない原写真から詳細な撮影位置を割り出し、各種関連史料を博捜して撮影された諸建築を比定する作業は非常に手間がかかっています。日本橋按針町・赤坂黒鍬谷など、写真で見るとずいぶんイメージが違って、絵図だけで想像することの危険さを思います。全体の紙面デザインも非常に美しく巧みに設計されていて秀逸。2018/02/25
じょうこ
8
200頁以上ある本だが元の古写真はたった20枚。これらの写真を細かくクローズアップしたり、撮影場所を現在地と重ねたり、浮世絵や史料で裏を取ったりと、丹念に推定、深掘りしていき、読者の前に江戸末期の東京の姿を描き出す。写真の中にはビックリした顔でこちら(撮影者=当時の異国人さん)を眺める着物姿の我々^ ^も写っており、面白い。愛宕山、御茶ノ水、日本橋他、現在も変わらぬ地形を感じることもできる。写真の印刷再現、造本も贅沢。何より著者の筆とこだわりが快感。名ガイドです。私は完璧タイムワープできました。2023/02/16
チョビ
5
明治になって江戸は東京になった。けどそれは名目のことで、江戸の生活は続いていたわけだ。戊辰戦争をくぐり抜けた土地柄がほとんどなのも、焼けたところは撮り手である偉人さんたちには当たり前の風景だったのだろう(そりゃあ、上野はねえ、近代的な街に生まれ変わったわけだし)。好奇心でシャッターを切る姿はとてもよい。そして、江戸を生きる彼らの生き生きとした生活感もまたよいが、それにしてもこぎれいな街がほとんどだ。入ってはいけない街もあったんだろうなあ(しみじみ)。2019/03/15
kaz
2
幕末・明治初期の江戸の風景。撮影場所は、愛宕山、江戸城、霞ヶ関、永田町、日本橋、築地、赤坂、御茶ノ水、羅漢寺。この時代の写真は以前も見たことがあるはずだが、街並みがけっこう粗末であることに今さらながら気がついた。江戸城の壁は朽ちており、日本橋も浮世絵で見る賑やかさは感じられず、むしろ寂しい雰囲気さえある。武士のものも含め、建物もごく粗末なもの。なお、坂の具合などは高層建築が無い当時の方がはるかによくわかる。御茶ノ水の自然な状況も面白い。ブラタモリなどで当時の写真も活用すれば、より面白くなるのではないか。2018/05/19