内容説明
国境、国籍、主権、規制緩和…未完のプロジェクト立憲主義の観点から考察。
目次
第1部 時間(われら日本国民は、国会における代表者を通じて行動し、この憲法を確定する)
第2部 空間(国境はなぜ、そして、いかに引かれるべきか?;人道的介入は道徳的義務か?―『憲法と平和を問いなおす』を問いなおす)
第3部 人間(国籍法違憲判決の思考様式;学問の自由と責務―レオ・シュトラウスの「書く技法」に関する覚書;法律学から見たリスク;私が決める)
第4部 裁判(民事訴訟手続の基本原則と憲法;憲法から見た民事訴訟法;取材源秘匿と公正な裁判―憲法の視点から)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takao
2
ふむ2024/01/09
void
2
【★★★☆☆】『理性』と比べるとサブ的だしパッとしない。国籍法違憲判決の判例評釈(4章)と、7章人間論(欲求と意思・選択を区別し後者にのみ「合理性」を被せて解釈すべき、13条と排除的許容(違憲の法令を無視できる。「権利のための闘争」よろしく抵抗することを要求されているのではなく、許容されている))が良かった。あと人道的介入を題材とした3章、普遍的道徳的義務と各個人の「善き生」との対立。他に、憲法制定権力不要論、リスク学、学者の責務(樋口『論理と価値』:批判的峻別論、自覚的統合論とかその辺)など。2013/06/29
孤独な読書人
1
長谷部氏の憲法論は法哲学的な視点が多いと思った。2011/11/18
わんぱら
0
今さらながら読んだ。これで長谷部本は憲法とは何か以外読んだことになる。「憲法制定権力の消去可能性」の改訂版や「私が決める」などかなり重要な論考が載っているので、これまで読んでいなかったことを後悔…。最後の裁判関係は飛ばしたのはナイショだぞ。2016/08/31
check mate
0
憲法制定権力概念の消去可能性、R・シュトラウスのプラトン論、人間の主体性の古典的理解からの憲法13条の位置づけ、R・タックの投票行動正当化論など、刺戟的な論攷が多い。扱っているテーマは『比較不能な価値の迷路』『憲法の理性』など氏のこれまでの著作に比べるとやや小ぶりだが、本書では民事訴訟法とのリンクも射程に入っており、新しい長谷部教授が見られるかも。2013/08/13