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内容説明
傍らで稀有な時間を過ごしたゴンクール賞作家が、幾多の人物像を点綴しながら描くジュネ晩年の十年余。憤り、挑発し、消沈し、沈黙するジュネ。その姿、その言葉が甦る出色の回想録。
目次
声
運び屋
政治
タンジール
弟子
アリ・ベイ袋小路
アブデルケビル・ハティビ
聖ジュネ?
ジュシューのジュネ
人種主義〔ほか〕
著者等紹介
ベン・ジェルーン,タハール[ベンジェルーン,タハール] [Ben Jelloun,Tahar]
1944年モロッコ、フェズに生まれる。詩人、小説家。1973年小説第一作Harroudaを刊行。1987年La Nuit sacr´ee(『聖なる夜』)でゴンクール賞。2008年よりAcad´emie Goncourtの会員としてゴンクール賞の選考にも携わっている
岑村傑[ミネムラスグル]
1967年生まれ。東京都立大学大学院を経て、パリ第4大学文学博士。慶應義塾大学文学部教授。専門は、ジャン・ジュネを中心に、19世紀後半から20世紀前半のフランス文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
harass
89
モロッコ人のフランス語作家である著者による、晩年のジャン・ジュネの回想録。作家になる前に新聞に書いた記事を気に入った、ジャン・ジュネから連絡があり交友することに。創作を捨てパレスチナ問題のことばかりのジュネの狷介さや、彼の愛人のことなど。著者はなぜ自分のことが気に入られたのかが全くわからないし、ジュネのことを理解できたとは思わないそうだ。2021/02/27
qoop
6
誤謬を恬として恥じず主張を正当化する、不誠実な政治的人間という一面を持つジャン・ジュネ。彼の晩年に親交の深かった著者が、その強い意志と脆い方法論の同居に戸惑いながらも親しみを込めて綴った回想録。挑発し続け裏切り続け、敵を作り続けたジュネに対し、正当な批判を加えながら謂れのない批難を退ける著者。本書は、ジュネの複雑な人物像を理解する上で有益な補助線を引いていると感じられた。ただまあ、ジュネが誤解を受けるのはどう考えても仕方ないな〜とも思わせられたよ…2018/02/12
渡邊利道
3
モロッコのフランス語作家による、ジュネとの交友を綴ったメモワール。新進作家と言うよりもむしろ作家以前の新聞記事を読んで大作家ジュネが連絡してきてから、以後多大な影響を受けつつ、その複雑な陰影のあるジュネの言動に鼓舞され傷つき疑い憤激し陶然とし尊敬する気持ちの揺れを、じゅうぶんな時間を置いて冷静な筆致で書いていく。デリダへの信頼が驚きだったが、文章の極めて美しい凝縮力と多重的な意味と正義の感覚はたしかにジュネに一脈通じるものがある。2018/05/09
みずえ
2
晩年のジュネとの交友の回顧録。ジュネが好きすぎて、毎ページがエモくてなかなか読み終わらなかった。ジュネの晩年の作品、実は全然読めていないので、読もう!2020/05/03
mori-ful
0
「わたしがブラックパンサーとパレスチナ人から学んだのは、反乱の何たるかをもっとも理解させることができるのは詩的表現だということだ。その表現が曲解されてしまうこともあるだろうし、一種の美学として見られる可能性もある。注意が必要だ。簡単なことじゃない」「2023/07/15