内容説明
家族制度が社会制度に決定的影響を与える。―家族制度・教育・文化・政治・イデオロギーが複雑に絡み合う現実をトータルに認識する、経済論の刷新。人類学的構造を異にする、米英アングロサクソン型個人主義的資本主義と日独型統合的資本主義を、「グローバリズム」の名のもとで一律に論じる愚への問題提起。
目次
序 危機の本質
第1章 経済学者のための人類学入門
第2章 文化の天井
第3章 二つの資本主義
第4章 90年代の転換―アメリカ経済はダイナミックか
第5章 不平等への逆流と国民の分裂
第6章 自由貿易のユートピア
第7章 通貨のユートピア
第8章 引き裂かれたフランス
第9章 ゼロ思考の社会学
第10章 紛争への回帰、信念への回帰
結論 信念と経済活動
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
にょ
2
既に四半世紀前の本だが、GDPに警察や弁護士費用が含まれていることや購買力平価の批判はもっとも。暴力=成長は意味不明だし。GDPに占める教育費という指標が無意味という指摘もめっちゃクール。貿易理論についてはどうなのって感じだったけど、やはり経済は社会的諸力の表層なのか。あと、識字化→革命と民主化→高等教育→格差、の説明は去年あたりの中国の「双減政策」の背景としていい説名だなあと感じた。トッドの中国観の答え合わせが今世紀の私の楽しみの一つです。ドイツの移民による人口増加はこの時点では予想してないみたい。2022/12/03
molsci
2
家族類型によって各国の教育や経済を全て説明できるとする著者の主張に全面的に首肯はしないものの、経済問題の人類学的分析という観点は興味深い。自分が自由主義や資本主義を是とする思考にいかに捉われているかも思い知らされた。著者が21世紀の経済状況を如何に分析するかも聞いてみたい。2016/05/15
たぬき
0
なんで こんなに文字数が多いのだろうか2013/05/01