感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
7
京都新聞寄稿、書下ろし、批評文、雑誌「思想」や「言語」等の論稿、本の解説文等玉稿集。鶴見氏は91歳。大岡昇平の息子の家庭教師に小林秀雄氏(42ページ)。トレビア。自己教育で一個の思想家になったルソー(初出2010年 66ページ)。おじぎのある社会(86ページ~)はしぐさという意味でドキリと。頭を垂れない稲穂の時代ゆえ。鶴見氏は読書のペースが10歳のときと82歳と比べると10分の1となったという(初出2005年 95ページ)。その分年の功なのでは。先生への転向を反復する(108ページ)醜悪な教育象(像)か。2013/02/24
勝浩1958
6
自ら子供のころは不良少年であったと仰る鶴見氏のその子供のころが知りたい。この同時代批評のどの一文にも清々しさが感じられ、また氏はまったく無私の人であるという印象をもった。私には、「性格の根底に磁石をもっていないと、知識はその人に吸いつけられない。いくら知識をもっていても、その知識を使いこなすことはできない。」が耳に痛い。いやいや、私の知識など知識と言えるような代物ではないからそれ程気にすることもないでしょう。2014/05/14
fonfon
4
着々と滅びの仕度をしつつある鶴見さん。編集工房ノアはまたもや良い本を作られた。須田剋太さんによる装丁は素晴らしい。疑疑亦信也という荀子の言葉は鶴見さんにぴったりです。あちこちに書かれた小文のまとめ本。あとがきが3月5日になっている。震災のあと書き直されたらよかったのに、残念に思う。河合隼雄の歿後の門人となって思い当たることが多い、と書かれているが。。どうか、お元気を取り戻して頂きたい。鶴見さん独特の、あの、「わっはっは!」という呵々大笑が聞こえてくるような新しい文章が読みたいのです。次作に期待2011/08/05
Bartleby
3
小文集。その中に、今はもう亡くなられているご両親について鶴見さんが想像されている文章がそれぞれある。その描かれ方が心に残った。二人とも無言の姿で描かれ、鶴見さんもそんな二人と時に向きあい、時に並んで歩まれている。二人をにらんでいた不良少年のころとは違う、静かな視線で今も二人を見つめ続けている。2012/08/01
あきこ
2
鶴見さんの最新の本。短い文章集なので読みやすいのだが、難しくてわからないものもあった。作者の本を読んで、世の中ってこういうものか、こうだったのかと妙に納得できることがある。一体世の中の報道や有識者と言われる人の言動はどうなっているのか?こういうこというとこちらが偏っていると思われかねない状況はなんなのか?これでは大戦下の時代を似たり寄ったりではないのか?一人ひとりがきちんと考えて行動できること、その拠り所とないような鶴見さんの本。今度は震災についても聞いてみたい。2011/10/30