内容説明
ラフカディオ・ハーンが東洋の女性に見出した謎。その謎は「日本という国」の謎へと展開し、それに導かれるように、作家は世界文学を遍歴する。出色の長篇評論の開始を告げる巻。
目次
黄金の女達
夢のなかの出雲の女
熊本のヘルン大家族
日本のもう一つの顔
日本の河
藍色の想い
椰子の下の夢
チェンバレン教授の眼
節夫人との結婚の秘密
もう一人の帰化人
東は東、西は西
僕は別人だ
ナポレオンの悩み
モンテ・クリスト伯邸の伊万里焼
野蛮にして聖なる隣国
復活
近づくハムレットとドン・キホーテ
困窮文士学社救済協会
腹を立てた外人女性
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tonex
4
『私の作家遍歴』の第1巻。ラフカディオ・ハーンの評伝のはずなのに、話がどんどん脇道にそれていき、結局何の話なのか、わけがわからなくなる。はたしてラフカディオ・ハーンの話に戻ってこれるのか? 第2巻に続く。2015/03/20
にっつぁん
3
政治革命、ナポレオンの征服進攻主義、それから産業革命、これらのものは、十八世紀の合理主義がなかったら歴史に登場することは出来なかったことは誰が考えても分ることだ。そうして合理主義にあきたらず手をのばし、自由になろうとするところにうまれたものであった。それはなかなかすんなりとはいかなかった。新しい不自由をもたらした。そしてそこからそれぞれの形や方法で自由になろうとした。そういう流れの彼方にヘルンがいる。267頁2011/04/07
yoyogi kazuo
2
最初の小泉八雲のくだりはこちらの知識不足もあり読むのがきつかったが、ロシア文学(ツルゲーネフ、ドストエフスキーなど)の部分は非常に面白く読めた。解説は保坂和志でいつもの論旨だが彼の再評価(?)のおかげでこの本も読めたのだと思うと感謝するしかない。2021/07/23