叢書アンデスの風
燃える平原

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  • サイズ B6判/ページ数 221p/高さ 20X14cm
  • 商品コード 9784891762407
  • NDC分類 963
  • Cコード C0397

内容説明

生涯たった二つの著作しか残さなかったフアン・ルルフォ。寡作にもかかわらず、おびただしい数の評論や論文、研究書がメキシコの内外で次々と書かれ、今やラテンアメリカの最も重要な作家のひとりであるという評価を得た伝説的な存在である。本書は、メキシコの大地で喘ぐ農民たちの愛憎、人間の孤独や狂気、欲望や宿命を、余分なものを徹底的に削ぎ落としたストイックな文体で描き、神話的な物語にまで昇華した、奇跡的な短篇集。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

どんぐり

87
1950年代にメキシコの作家が書いた短編17作品。貧しい農夫や牧童たちが荒涼とした土地でくり広げる暴力と死、そして殺しと復讐劇。メキシコ革命のパンチョ・ビラとサパタが登場してきそうな独特の世界観。ラテンアメリカ文学の作家としておさえておきたい一冊。2018/04/17

zirou1984

42
生涯で2冊の本を執筆しなかったメキシコの作家による、傑作中の傑作短編集。長編『ペドロ・パラモ』が積み重なる死者の記憶を描いたものに対して、収録作の多くが10頁前後である本作で書かれるのは死につつあるものの記憶、死のすぐ傍にある記憶。ひび割れた大地、照りつける太陽、そして重なる死体。一切の修飾を排した、乾いた文体で風景と会話が積み重ねられているだけなのに、その圧縮された文体から死臭のように詩情が爆発している。本書からは声をもたぬ者たちの叫びが、言葉を持たなかった物たちの語りが驚くほどに封じ込められている。2018/02/04

三柴ゆよし

26
再読。極限まで圧縮された文体は、身慄いするほどすさまじい。ルルフォは沈黙によって語る。そしてその沈黙によりそい、耳をそばだてる者には、いつか、だれかの声が、ついに聞こえるかもしれない。本書に収録された短篇のすべてが、あたかもすべての短篇のお手本のようにもおもえてくるが、「コマドレス坂」「タルパ」「マカリオ」「ルビーナ」「犬の声は聞こえんか」あたりがやはり出色だろうか。小説好きを自認するならば、なにを差し置いても読むべき一冊。2017/12/13

長谷川透

25
『ペドロ・パラモ』への序奏。ルルフォが目にしたメキシコの現実は全てこの書の中に書き込まれたのだろう。描かれるのは殺人や戦争、飢餓や極貧血。生臭い争いと貧しい生活の中に木霊する生者の強い叫び。しかし、強い轟きの後の静寂に耳を傾ければ、そこには死者の弱くも確かな声が聞こえる。生者と死者の声が綯い交ぜになったときに生まれたのが『ペドロ・パラモ』なのだろう。この小説の中では、声だけではなく肉体諸共混在した世界が成り立っている。誤解して欲しくないのは、この短篇集は決して習作集ではない。個々の短篇どれもが素晴らしい。2013/08/20

スミス市松

25
ずっと読んでいたら身体が自然発火してしまうのではないかと思わせる衝撃の短編集。ルルフォの描く世界では水はおろか吐瀉物や排泄物、流れしたたる血の一滴に至るあらゆる液体が熱気に巻き上げられ干乾びてしまう。彼は小説の中の無駄なもの一切を削ぎ落とすことによって、記憶のどん底に眠るあの強靭な文体を獲得したのだろう。そこから立ち上がってくるのは何の衒いもない当時のメキシコの現実であり、呪われた土地にしがみつく貧しき農民たちのうめき声である。南米文学のひとつの源流。ここから『ペドロ・パラモ』に至ったことに戦慄した。2011/10/08

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