感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
CCC
8
告発的な内容ではあるが話は基本記録ベースで、聖句、内部文書、発言の引用が多い。自身が見てきたラッセル~統治体への権力移行の流れ、教団の指針の矛盾、1914年についての教義の歴史修正主義的な解釈の変遷、組織の解釈への疑問を口にした者への粛清とその流れなんかが主なトピック。教団批判の本では珍しく内部の言葉、ロジックで書かれている。教義や組織の論調がわからなければ理解しづらいかもしれない。なので信者向けに近い内容かも。ただ信者は反対者には目を背けるよう推奨されているので、そこに届くことはなかなかないだろう。2023/12/05
なめこ
1
小学校中学校と比較的仲の良かったクラスメイトにエホバの証人2世が二人いた。キリスト教に興味を持っていたので出版物を見せてもらったり度々そういう話をした。当時の自分の薄い聖書知識でもなんともいえない違和感を感じて入信したりすることはなかったのだけど、あの違和感は何だったんだろう?とずっと疑問に思っていてこれを読んでみた。仲間内だけで通じるような言葉や概念が頻繁に出てくるので、ネットで用語を調べてなんとか。教会は建物ではありません、人を見るのではなく神を見なさいという言葉の重要性が分かるなぁ…。2016/08/21
ジュリアン
1
アーサー・ミラーの『るつぼ』やロバート・ボルトの『すべての季節の男』アーウィン・ウィンクラー監督の映画「真実の瞬間」に描かれる怖さと怒りを感じた。組織の暴力、論理が通じないということの背筋が凍るような怖さ。これは現代の魔女狩りであり、赤狩りであり、ガリレオ裁判である。2016/04/16
マイケル・タクマ・ヤン
0
少なからず接点があり知人もいる。彼らは神でなく組織に忠実と感じる。そんな疑問があったので、組織中枢の「統治体」にいた著者の話は興味深い。私が持つ多くの疑問に応える見解があり、読みごたえがある。人の組織である以上誤りは生じるが、地上唯一の神権組織という教義ゆえに簡単に誤りは正せない。終わりの日が幾度か変わってきたが、それら教義への疑義は排斥の危険がつきまとう。健全な批判ができず自ら考えることのない構成員を生む組織の論理は自滅へ向かう歯車であろう。この先信者は排斥を恐れず良心に従い自らの信仰を貫けるだろうか。2023/11/23