内容説明
学生時代、映画館でアルバイトをしていた俳優・片桐はいりが映画への、そして映画館への、今も変わらぬ想いをあますことなくつづる。
目次
渡り鳥映画館へ帰る
転向生
Wの喜劇
女王の男
巴里の空の下ケムリは流れる
パルプ・コレクション
仁義の高場
時給交響曲
私の頭の中のそろばん
愛と劇場の日々〔ほか〕
著者等紹介
片桐はいり[カタギリハイリ]
1963年、東京都生まれ。成蹊大学卒業。俳優として、映画、舞台、テレビ、CMと幅広く活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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シブ吉
130
「ひと昔前の映画館の入り口にはよく、銭湯の番台のような受付台がしつらえていたものだ。」映画館でバイトをしていた片桐はいりさん。チケットをもぎる番台を、そこでは「タカバ」と呼んでいたが、その場で働く自分を「実のところ、わたしは鷹のようなもぎりだった」と語る。「ふだんは居眠りやおしゃべりに明け暮れるくせに、お客さんにはやけに手厳しい、嫌なもぎりである」思わずニヤリ。読みながら、今は無き地元の映画館の、入替なし、自由席、土曜オールナイトを思い出す。この本は、はいりさんの『映画館愛』がたっぷり詰まった一冊でした。2014/06/08
あつひめ
88
水を得た魚のように生き生きしたもぎりのはいりさんを想像できた。人は、自分の居場所を見つけると唾を飛ばしながら、映画や演劇の話に盛り上がる。素敵な時代だったと思いませんか?はいりさんとは3歳しか違わないので、似たような時代を生きてきて、バイトの時給の話や野麦峠の話…あの時代を思い浮かべちゃいました。はいりさんのエッセイは初めてでしたが、とても素直な筆運びで、また読んでみたくなりました。女優としてのはいりさんも好きなんだよなぁ~。2015/01/20
milk tea
76
テンポよい飾らない文章と、映画が本当に好きなんだなというのが伝わってきます。表紙にあるような事務服を着たはいりさんをちょっと想像してみたり。当時の映画チケットの写真。昔の記憶を取り戻したり、なんだか懐かしかったです。2018/08/16
風眠
70
片桐さんは、なぜか未だに映画館でボランティアみたいなことしてるらしいですが、女優なのに、そういう庶民派な雰囲気が文章にもにじみ出ています。お芝居が好きで、映画が好きで、だから映画にかかわる、映画館も、音楽も、もぎりのお姉さんも、お客さんも、とにかくぜーんぶ大好きなんだ!って気持ちがたくさん詰まってる。こうまで映画館押しされちゃうと、つい行ってしまうかもしれません(笑) 田舎の古い映画館の紹介などもあり、旅ごころもそそられてしまうエッセイ集。2011/10/22
吉田あや
69
自らの出自を問われたら、演劇でも映画でもなく「映画館」と言う程に、冒頭から映画館への強い愛が溢れている。18歳の頃から7年間アルバイトをしていた「シネスイッチ銀座」は、もぎり嬢としてのはいりさんの故郷だという。日曜礼拝に通うような神聖な行事として中学に上がった頃からまめに映画館へと赴き、映画の中の光景を作り物だと想像すらしたくなかった為、いくら映画好きでも映画の中で働くのではなく、映画の側で働きたいともぎりの日々が始まる。(⇒)2023/03/16