感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のっち♬
105
1860年代に発行誌に載せたエッセイ。難破事故の視察にはじまり、ホームレス、救貧院、警察の怠慢、教育、失業など広範な話題を持ち前のジャーナリズムで批評論考。暗澹一辺倒ではなく見得を切った人物描写やユーモアの効いた穏和な進行で、読者との絆を大切にするスタンスが貫かれている。幼少期から近年のまで自らの記憶を下地にした嘘とも実ともつかない逸話は親近感を湧かせる。悲痛な貧困とコントが隣り合わせなのも彼らしい。移民や食堂、鉛中毒など、先入観を戒めながら物腰柔らかに弱者目線に立つ取材模様からも晩年の着想に迫れる一冊。2022/05/08
有沢翔治@文芸同人誌配布中
6
ディケンズはイギリス国内の貧民窟、造船所などを取材のため回っている。そればかりではない。イギリスの海水浴場、フランス、イタリアにも旅をしている。このような字義通りの度はもちろん、不眠症で眠れず、夜の街を歩いた。疲れたら眠れるのではないかと考えたのである。そしてこの時の思索も綴られている。自らを「逍遥の旅人」とし、その「旅」の体験記をまとめたエッセイ。http://blog.livedoor.jp/shoji_arisawa/archives/51521934.html2021/12/09