著者等紹介
金井田英津子[カナイダエツコ]
1955年、群馬県桐生市生まれ。版画家。筑波大学大学院修了。版画作品を発表する傍ら、本の装幀、挿画を手がける。また、日本の名作文学を、造本まで視野に入れ、挿画を描く活動に取り組んでいる。『人形の旅立ち』(長谷川摂子・福音館書店)で第一八回赤い鳥さし絵賞、第三八回造本装幀コンクール審査員奨励賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Y2K☮
55
バーゲンブック。金井田英津子氏の版画との融合が素晴らしい。ページを捲る度に景色が一変し、次はどう来るのかと胸が躍る。著者の無意識や心の奥に秘めた想いを暗示する不気味な幻想世界の魅力が最大限に引き出されている。運慶の出てくる第六夜にミケランジェロの名言と同趣旨の台詞があるけど偶然の一致? 西へ赴く船上で心細くなる第七夜と洋杖(ステッキ)で鼻を打たれると悶絶する豚の群れに立ち向かう第十夜が特に印象深い。第十夜は村上春樹「とんがり焼の盛衰」と通ずる様な。初読時よりも作品の妙味を味わえた。やはり漱石は寂しい人だ。2015/11/24
ハイカラ
27
大好きな小説に素晴らしい版画がついているという宝物みたいな本。札勘定の女の不気味さ、豚の生々しさが特に気に入った。いや、本当にいい本です。2016/03/15
マカロニ マカロン
15
個人の感想です:B。この本を文章だけで読んでいたら、夢の話だけにとりとめのない印象になったと思うが、金井英津子さんの版画を見ながら読むことで夢がビジュアル化されて夢心地の読書体験になった。第十夜で檳榔樹の洋杖で豚の鼻頭を打つ場面、半透明の紙にステッキが印刷されていて、読みながら豚にパンチでき楽しい。楽しい。第六夜運慶の彫刻について「あれはあの通りの眉や鼻が木の中に埋まっているのを鑿と槌の力で掘り出すまでだ」と言うのに対し「明治の木にはとうてい仁王は埋まっていないものだと悟った」というユーモアに笑った2023/01/07
アイカワ
9
調度「文鳥・夢十夜」を読み終えたところへ書店のアウトレットセールで安く売られているのを発見。なんだかときめいてしまい購入。やっぱり第一夜の艶っぽさ堪らないあ。あんな女性に百年待てと言われたら百年待つだろう。第二夜の深夜の空気感は本当に体感できるほど息苦しい。読んでるこちらも鼓動が早くなる。この二つは原作でも好きな話なのでうっとりするほど美麗な絵との相性の良さも合間って思わず溜め息。あとは第三夜、第十夜の絵も素晴らしい!!あの見事な森!生々しい豚!実際に豚の鼻に杖を叩きつけられるギミックは地味に嬉しい。2016/06/18
timeturner
8
パロル舎版ではなく長崎出版が復刊したほう。自由価格本になっていたのを入手したので再読。この絵、この文、至福の時間。漱石てば、ときどき気恥ずかしいほどのロマンチストさん。2015/11/03