内容説明
1948年に取次「鈴木書店」に入社し、1996年に退社する間、取締役仕入部長を歴任した著者が、敗戦直後から今日までの出版社‐取次‐書店の実像を初めて語る。
目次
第1部(前口上;創業者鈴木真一 ほか)
第2部(鈴木書店の創業期メンバー;鈴木書店の金融事情 ほか)
第3部(大取次と小取次の格差;鈴木書店と神田村 ほか)
第4部(鈴木書店の労働体制と組合;正味問題と書店スト ほか)
第5部(鈴木書店の衰退;鈴木さんの死と葬儀 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鴨長石
3
出版取次の意義が個人的にはあまり感じられていなかったので、業界を知るためにとりあえず読んでみる。2001年の鈴木書店倒産の時は自分は中学生だったが、出版社に勤務していた親は「日本の学問の死だ」と言った。かなりショックだったことを今も覚えている。鈴木書店が、岩波書店をはじめ日本の学術的出版社を支えてきたことは本書を読んでわかったが、その内実は圧倒的な「人間力」をもつ創業者の個人的な度量によるものだった。結局東・日販を含め日本の出版流通はシステム的に学術出版を支え盛り上げるということができていなかったのだ。2023/06/08
せいた
3
大変勉強になりました。出版業界それも出版流通に限った人しか興味ないかもしれない本ですが、先人たちの苦労を知ることができました。2014/12/12
rbyawa
1
j105、私の読みたかったのは戦前だったのだがこのシリーズはどうも戦後の出版業界を大きな枠として捉えるために作られているらしいことに気付いてそれはそれで意義が深いと納得。鈴木書店というのは戦後発祥の取次で新興だったものの戦前からの信用もあり、大学生協に踏み込む、学術分野に非常に強いなどの特色があって成長を続けたものの「金融業務」が強みを打ち消すほど重要になって各取次が次々と頓挫していく中で健闘はしたものの倒産、となっていた…。いや、これ、取次のマーケティング能力が業界から完全に失われたってことだよね…怖。2019/09/11
psy
1
とても興味深く読めました。てか、切ない・・・鈴木書店の歴史は、日本の出版界の歴史の一断面なのでしょうと思いつつ。創業者の鈴木さんが栗田出身というのも、感慨深いというか。色々と根は深いというか。今後どうなって行くのか。このシリーズで、取次テーマはこの1冊のみというのも。漫画の重版出来でも、取次の話は出ないなあと思ってましたが、やはりタブーな域なのかなあとか思ったり。井狩さん出てくるかなーと思ったけど、出て来なかったですね。このシリーズ、もーちょい読んでみたいですが、興味ある分野のが出てるといいんですが。。2016/07/07
poefan
1
出版史を立体的に描き出す長期にわたるシリーズの一冊。2015/04/12