内容説明
現代社会のアクチュアルな問題を、物語の批評を通じ深く掘り下げる論文集。小説におけるマイノリティの問題を扱う第一部と、映画・文化産業が生み出す物語を考察の対象とする第二部から成る。アメリカ文学者・吉田迪子の思想を特徴づける代表的論考二篇を収録。
目次
第1部 響き合う小説の言葉(近代と対峙するコスモロジー―モリスンと石牟礼道子の世界;フォークナーの反逆的後継者としての中上健次;父の認知を求める混血児―「父と息子」と『アブサロム、アブサロム!』;シャーウッド・アンダソンとジーン・トゥーマー―視線の暴力をめぐる、テクスト間の対話;危険なる仮装―ネラ・ラーセンの「サンクチュアリ」と剽窃疑惑;「黒い」主人、「白い」奴隷―「ベニト・セレノ」における反乱の意味;戦争・哀悼・国家―アメリカ再考の物語としてのウィリアム・フォークナーの『寓話』とトニ・モリスンの『ホーム』;アイデンティティと階級の相克を越えて―チャンネ・リーの『ネイティヴ・スピーカー』はネオリベラル小説か)
第2部 映像と物語の可能性(映像の近代時間―効率と映画の一考察;ナブコフの『闇のなかの笑い』と映画;非アメリカ的な「夢」と前衛映画と抵抗と―第二次世界大戦前後のアナイス・ニン;戦うプリンセスたちの挑戦―プリンセスと戦う女性と女性ゴシックの関係;冷戦期のある「夫婦」の物語―レナード・バーンスタインの『タヒチ島の騒動』をめぐって)
著者等紹介
中村亨[ナカムラトオル]
1966年、京都府生まれ。1995年青山学院大学大学院博士後期課程満期退学。中央大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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