内容説明
1930年代、魔都京城で開かれる華やかな仮装舞踏会。次々と起こる怪事件に探偵劉不亂が挑む。韓国推理小説の父、金来成が放つ本格探偵長編。
著者等紹介
金来成[キムネソン]
1909‐1957。大韓帝国、平安南道生まれ。早稲田大学在学中の1935年に探偵小説誌「ぷろふいる」で作家としてデビュー。その後、母国に戻り朝鮮日報社に勤め、雑誌の編集に携わりながら探偵小説を発表する。49年から52年にかけて韓国日報に大衆小説「青春劇場」を連載し人気を博す。57年、ソウルの自宅にて脳溢血のため死去。享年47。代表作に『魔人』(39)、『青春劇場』(52)などがある。その功績を称え、来成文学賞と長編推理小説新人賞の金来成推理文学賞が創立された
祖田律男[ソダリツオ]
1951年、兵庫県神戸市生まれ。2001年、第24回BABEL翻訳賞(韓日部門)最優秀賞受賞。図書館司書を経て韓国語翻訳家となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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シガー&シュガー
12
日本統治下の朝鮮、稀代の美貌を持つ舞踊家が年嵩の富豪と婚約したことで起こる連続殺人事件に対し、探偵劉不乱(ユ・ブラン)が活躍(?)するお話。猟奇度合いや耽美度合いは低く、けっこうエグイ保身に走っている部分もさらりとした説明で終わってしまっているので残念。上流階級の中で起こる事件ゆえか当時の朝鮮の風俗がほとんど描かれておらず、特に日本統治下であるということを意識させられずに読み終わってしまったのも期待とちょっと違っていたので、当時における意義は確実にあったとして、今の時代に読み返す必要はあまり感じないかな。2017/11/02
kenitirokikuti
7
図書館にて拾い読み。オリジナルは1939年の『朝鮮日報』紙に半年連載した探偵小説。朝鮮にて初めてベストセラーになった探偵小説であるそうな。まったく知らなかった…。しかし、昭和十年代半ばったら本土じゃこの内容では書けなくなってたんじゃないかしら? 作中の京城(ソウル)の地名は、日本式の新地名「町」と本来の地名「洞(ほらではなく、町に該当する朝鮮語)」が混在しているそうな。2018/12/08
コカブ
1
1939年出版の朝鮮語文学。ユ・ブラン(劉不乱)という探偵が活躍するシリーズのうちの1つ。1930年代のソウルが舞台。世界的に有名な舞踏家の朱恩夢(崔承喜がモデルになっているらしい)が富豪の白英豪と結婚することになったが、周りで事件が発生し、殺人も起こる…。/探偵の名前はモーリス・ルブランをもじっている。日本統治下のはずだが、登場人物は警官も含めて全員朝鮮人で、文章中に「総督府」という文言が出てくる以外に植民地らしさは感じられない。当時、白英豪のような民族資本家はどの程度いたのかちょっと考えてしまう。2015/09/19
Genei-John
1
戦前の通俗冒険探偵小説というか、エログロ風味を抜いた、通俗江戸川乱歩といった感じ。2015/03/24
N.蘭子
1
江戸川乱歩風味の、探偵と怪人の対決に美女がからむ構図。しかし超まどろっこしい。実行犯は読者でも早々に気付くのに、犯人含む関係者がぜーんぶ死んでからやっと謎解き。解決にたどりつくまでにイライラしすぎて、推理のカタルシスが得られなかった・・。個人的に「黄色い部屋の謎」と同じくらいのイライラ度(笑)2014/10/24