内容説明
近世に生きた三つの詩的個性の心の軌跡を、歴史の流れのなかに追究した異色のエッセイ。近世俳諧史の前・中・後の三期を代表する芭蕉・蕪村・一茶をつらねて、それぞれの個性の所在をさぐりながら、合わせて近世という時代の思想史的な変遷を跡づけた。
目次
1の記 旅人芭蕉(終りなきはじまり―天命としての旅;旅が栖か、栖が旅か―奥の細道をゆく;造化に帰る―風と芭蕉と;枯野に死す―「翠」という本掛)
2の記 画人蕪村(芭蕉への回帰―俳諧の趣味化;虚と実―生を写すということ;定住と旅―近世的な、あまりに近世的な;教養と創造―俳体詩の試み)
3の記 俗人一茶(俗の純粋化―人生と芸術とあいだ;凡愚と妙好人―俗のなかの白蓮華;歓びと悲しみと―『おらが春』のゆくえ;聖なる俗―慰めとしてのつぶやき)
著者等紹介
大野順一[オオノジュンイチ]
1930年、東京に生まれる。1957年、明治大学大学院文学研究科修了。専攻は日本文芸思想史。文学部助手、講師、助教授を経て、1971年、教授。文学科長、日本文学専攻主任(学部、大学院)など歴任。2001年、明治大学文学部教授の職を退く。著書に『詩と死と実存―日本文芸思想史研究』(角川書店、第5回茗水クラブ学術奨励賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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