内容説明
放浪記刊行史上はじめて、15種の版本をつぶさに比較検討し、伏せ字を甦らせ、“校訂復元版”をものした著者による新放浪記論。放浪記に隠された謎と秘密が明かされる!
目次
名付け親は石川三四郎
石川啄木と村山槐多
言葉遊び(一)数字遊び
言葉遊び(二)連想ゲーム
指のない淫賣婦
関東大震災と二人のフミ子
南天堂とアバンギャルド
アメチョコハウスと宮崎光男
野村吉哉(一)訣別の言葉
野村吉哉(二)貧乏詩人の日記
野村吉哉(三)童話時代
平林たい子と山本虎三
淺草ホーリネス教会
文学は波涛を越えて
少女の友・新女苑と内山基
わが身上相談
空飛ぶ魔女 北村兼子
著者等紹介
廣畑研二[ヒロハタケンジ]
1955年生まれ。東京都立大学法学部卒。日本近代史研究者。社会運動史、移民史、特高警察資料史、政治裁判資料史等を専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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きつね
6
検閲や特高についてなど、歴史研究者ならではの蘊蓄と考察が盛りだくさんで大変勉強になる。また作品の初出雑誌や、新聞・同人誌を博捜し、資料を発見していく手際からは膨大な作業量が垣間見え、敬服する。『放浪記』の異同の多さ、その改稿過程の複雑さは想像を絶する。その複雑さを「謎」と呼び果敢に取り組む本書だが、それはそもそも「謎とき本」の題材となるたぐいの「謎」なのか。「謎」と呼んでしまった時点で問題構成が狭められてしまってはいないのか。このあたりは通読してみてももうひとつ飲み込めない。 著者のご論文(2014)によ2015/08/31