内容説明
1962年に新書館で「フォア・レディース」シリーズの企画を担当、天声出版からリトルマガジン『血と薔薇』を創刊。1969年に薔薇十字社、出帆社へとその歩みは続く。三島由紀夫・寺山修司・澁澤龍彦らと伴走した日々。伝説の女性編集者の軌跡を辿る。
目次
第1部(戦後文芸誌『世代』のこと;玄光社と堀内誠一 ほか)
第2部(『話の特集』に入る;『若い生活』の編集 ほか)
第3部(薔薇十字社設立とその周辺;『血と薔薇』が雑誌に与えた影響 ほか)
第4部 (都市出版社との関係;詩を中心とする文学・芸術季刊誌『都市』 ほか)
第5部(最後の本のことなど;森茉莉とのトラブル ほか)
著者等紹介
内藤三津子[ナイトウミツコ]
1937年、中国上海市東洋街生まれ。1960年、青山学院大学文学部英米文学科卒業。玄光社・コマーシャルフォト編集部、中山書店生物学大系編集部を経て、1962年、新書館入社。「フォア・レディース」の担当など編集長として四年間在籍。その後「話の特集」を一年間手伝い、1968年、天声出版にて雑誌『血と薔薇』を企画、その三号までの編集に携わる。1969年、薔薇十字社設立。73年倒産。その後出帆社を経て、1982年~2002年、編集プロダクションNアトリエ主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぐうぐう
16
澁澤龍彦が責任編集した伝説の雑誌「血と薔薇」を企画し、そののち薔薇十字社を設立した編集者・内藤三津子に肉薄したインタビュー本。澁澤や三島、そして寺山修司といった著名人との交流や、薔薇十字社が刊行した数々の書籍誕生秘話を期待して読むと、大いに肩透かしを食らう。本書は、薔薇十字社の功績よりも、いかに出版経営に失敗したかを問う。驚きなのは、少なくとも出版不況ではなかった1970年代でさえ、高い志しと魅力的な執筆人を揃えても、小出版社は次々と倒産していた事実だ。(つづく)2013/04/23
羊男
3
伝説の雑誌「血と薔薇」に関わり、その後、薔薇十字社で耽美な本を出した内藤さんへのインタビュー本。昔は幻想文学系の本をこの出版社のもので読んだので、懐かしいのと、出版社の裏話が興味ふかかった。2017/04/16
かっぱ
1
澁澤龍彦や、三島由紀夫といった面々が活躍した時代の、伝説の出版社、薔薇十字社をめぐるインタビュー。次々に会社ができて、そしてそれがつぶれて、というストーリーとして読むと、これは面白い。一方、60年代後半が、まだまだ戦後であること、そして、その時代の文化というものが、良くも悪くも、生活に余裕のあるインテリ・中間層におっていたこと、そしてそこは今以上に個人的な人間関係でいろんなことが進んでいたことも再認識させられる。2019/12/14
紅独歩
1
薔薇十字本になんらかの思い入れのある人にとっては、興味深く、またやや複雑な気持ちを味わう事になるであろう一冊。伝説化した書物といえども、そこにはスポンサーの思惑や売上のトラブルなど、生々しい経済活動と無縁ではありえない。インタビュー形式なので、その辺りの印象は余計に赤裸々だ。しかし、幻滅を感じるよりも、「そうだったのか!」という再発見の楽しみの方がはるかに大きい。「あの時代」をリアルに感じることのできる好著だ。2013/03/16
ybhkr
0
伝説の編集者、内藤三津子のインタビューだがインタビュアーのほうが博識で対談みたいなかんじ。お嬢さん商売やなあ。この時代、これくらいのお嬢さん気質かガチガチの型パット戦士かウーマンリブじゃないと女が社長なんてやってられないわな。時代を作った本を企画しても会社をやめたら執着なくなっちゃうとことかお嬢さんだなあ。フォアレディースシリーズに対してすごく淡白。三島由紀夫の妻や森茉莉とのエピソードも興味深い。今だったらネットで対抗できるだけに。ヤプー著者が必死に正体を隠しているのにサラッと書いてたりなかなか自由な一冊2016/01/21
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- 和書
- 魂の旋律-佐村河内守