内容説明
ベストセラー『猫は知っていた』でミステリーブームを牽引した仁木悦子のジュニア小説を集大成。名作「消えたおじさん」、初単行本化「灰色の手帳」の2長編など全8編、随筆20編を併せて収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yamatoshiuruhashi
41
ある年代の人々には国語の教科書に載っていた「めもあある美術館」で馴染みのある大井三重子の別名での少年少女向け小説集。基本的には推理小説である。元々、著者は江戸川乱歩賞を獲ったほどの推理小説作家ということは知っていたが、彼女の推理小説を読むのは初めて。少年小説と言うことでトリックはわかりやすいが、当時の子供達の置かれた時代環境がよくわかる。著者自身、身体的ハンデを負っていたが、小説の中ではそのハンデは感じることはない。むしろ子供達への思いやりと希望に満ち満ちている。随筆付き。2020/05/21
ホームズ
32
挿絵があっていいな~(笑)ジュブナイルですからどれも読みやすいし安心して読んでいられるし子供向けだからといって手を抜いている感じもないし(笑)巻末に収録されている随筆編も良かった(笑)2巻目は1月発売予定になっているけど書店には並んで無かったな~。2013/02/05
ぐうぐう
18
仁木悦子の新しさは、それまでのミステリにはなかった日常的あたたかさにあった。それが何によってもたらされたものなのかは、この『少年小説コレクション』を読めば一目瞭然だ。仁木悦子名義でデビューする前、童話作家として活動していたという土台が、ミステリ小説に存分に活かされている。そして、本書に収録された少年小説は、さらに仁木のあたたかな作風が感じられるのだ。子供達をワクワクさせ、ドキドキとさせ、小説の楽しさを味わわせたいという仁木の気持ちが、読む大人達をも子供に還す。現代の子供達にも充分通用するおもしろさだ。2013/03/19
たまご
11
久しぶりの仁木さんです! こんなにジュブナイルを書いていたとか,童話を書いていたとか知りませんでした.安心して読めます.時代は感じるけど,この登場人物のような少年少女は今の時代にもいることを希望しつつ. エッセーの中で出てくるネタがどのように料理されて小説になったのか,大変気になります.探して読まねば・・・.2013/08/17
竜王五代の人
10
勧善懲悪の物語に、心の暖かい人々。子供向けというのは、ある意味、仁木先生の本領を発揮できる場だったのかもしれない。/小学生向けだと、次から次へとトラブルが数珠繋ぎな冒険ものがメインで、もう少し推理に振ってくれたらな、とは思う。その極端なのが「灰色の手帳」だけど、連載ものだから毎月ヤマ作って引っ張らなければいけなかったのかな、と勘ぐる。/挿し絵まで再録してあって当時の雰囲気がわかるのはいい(まつげ盛り盛りの「なかよし」掲載作とか)。「緑の香炉」の悦子はもっと丸ぽちゃの方が雰囲気出たと思う。2024/10/28