内容説明
豊美な挿し絵を伴って待望の新訳刊行!いま、ながーい歴史的な使命を終えて息もたえだえな男たちに代わって、女の時代がやってきた。
著者等紹介
佐藤雅彦[サトウマサヒコ]
翻訳者/ジャーナリスト。1957年札幌生まれ。筑波大学で心理学、教育学、「心身障害学」その他の人間諸科学を学んだ後、地方新聞の記者や雑誌編集者を経て現在は翻訳やジャーナリズムに携わる。関心分野は、科学社会学、医学、生物学、生命工学、政治学、政治史、情報論など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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桜もち 太郎
6
2400年前に書かれた作品。男たちが起こした愚かな戦争をやめさせるために、女たちがセックスボイコットを起こすストーリー。現代よりも性に対してかなり開放的な感じがします。「無駄な投票延々と、六たび七たびくりかえし、糞の役にもたたない法を、せいぜい決めて遊んでな。政治をもてあそぶオマエらくずが、世の中みんなに嫌われていると、ちょっとは気づけよ、愚かもの!」って痛快です。我々人間、なかんずく為政者どもは2400年前の古代ギリシャと少しも進歩してないなぁって思う作品でした。2015/10/01
tona
3
ビアズリーの挿絵が、あまりにも露骨で、かつ過激でビックリ。女のセックス・ストライキを描いた作品として有名ですが、読んでみると、本当に笑える。正しく喜劇。2015/02/21
nightowl
2
解説を台詞の中に織り込んだ大胆な訳。その分、上演し易く意味がかなり通り易くなっている。第5幕のリューシストラテーの政治についての正論からギャグ展開に至る場面や、終盤のアテーナイもスパルタも互いの恩を忘れたのかと説得する場面は他の訳と比較すると上手さが分かる。ピアズリーの挿絵はとても外では見られないので注意。耽美的なものからギャグ路線まで多才さに驚く。2020/04/05
うぃっくす
2
戦争をやめさせるために女たちがセックスストライキをする話。挿絵笑った。電車とかで読みにくいわ。下ネタとあっけらかんとした性への奔放さに最初びっくりしたけど解説に「もともと嫌悪や羞恥の必要ない裸体や人体の生理学的反応を堂々と描き出し、社会的体裁を気にしてそれに振り回される俗世間のみみっちい人々を逆に嘲笑してます。」って書いてあってなんか納得した。風刺ととればいいのか。2400年前の古代ギリシアと今では価値観もがらりと変わってるはずなのに今も面白く読めるのはこのユーモアのなせる技かしら。2017/03/10
ゆきむし
1
実際にペロポネーソス戦時下で興行された風刺喜劇とあって相当な現実味のあるテーマと思いきや、内容が拍子抜けするほどの淫猥で卑俗的な享楽に満ちていて、当時の観客は酩酊感すら覚えたのかもしれない。2400年の時を経た今でもリズムのよさ、読みやすさが圧倒的でものの小一時間で読めてしまった。エロと下ネタは風化に強い。巻末に実際最近起こったセックスストライキの事例をかなり網羅的に紹介していて興味深いが、紛争解決に貢献した例はノーベル平和賞をもらったリベリアの事例だけのように感じる。2015/08/03