内容説明
才気あふるる奇才による異色の本格ミステリ集。「虎よ、虎よ、爛爛と―」ほか全13編。
著者等紹介
狩久[カリキュウ]
1922(大11)年、東京育ち。本名・市橋久智。別名・貝弓子。慶応義塾大学・工学部電気学科を卒業した46(昭21)年に結核で倒れ、療養生活に入る。51年、『宝石』の短篇懸賞に「落石」「氷山」の二作を投じ、「落石」が優秀作5編の内に選ばれた。53年、自宅療養に入ってからは、本格推理の他、官能サスペンスや、自らを作中に登場させた私小説的作品などを発表し、貝弓子名義では創作翻訳も執筆。その傍ら「関西鬼クラブ」(後の「SRの会」)東京支部を主宰し、同人誌『密室』に創作などを寄せた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
造理
1
★★★★☆ 「探偵小説」という響き、ぐっときますね。良質な短編集。逆密室(事件が外で犯人が中)の論理が素晴らしい「虎よ~」は必読!他にも浴室の排水溝からの消失?とまさかのオチの「山女魚」、これまたラストが効いてる「すとりっぷと・まい・しん」などなど・・読みやすいしおススメです。2016/05/12
やっす
1
『楽しき哉!探偵小説』。帯の通りですね。探偵小説の面白さを堪能できる一冊。お気に入り順にベストを挙げるなら、『見えない足跡』『佐渡冗話』『落石』『呼ぶと逃げる犬』あたりでしょうか。真相解明のスマートな手際が特に印象深い作品達です。その他の作品にも見るべき所があり、本格好きなら楽しめる事間違いなしな作品集ではないかと思います。論創ミステリ叢書には、これ以外にも気になる作家が見受けられるので、気長に収集・読破していくつもり。2014/03/03
りゃーん
0
http://d.hatena.ne.jp/shinju-oonuki/20140520「狩久全集」が7万円なので諦めたが、せめてあの雰囲気を再び味わおうと本書を購入した次第。いや狩久の短篇集が21世紀に出るだけで事件だが。鮎川哲也の論理性と中井英夫の幻想性を兼ね備えたような作風で、すると破綻しか予期できないと思うがそれも含めて味で同時にポルノグラフィー的世界と作者がやたら本編に登場するメタ性でそれを補って余りある。最も「宝石」らしい作家であり、初めて古書店で購入した「幻影城」に載っていたので思い出深い。2017/06/17
kanamori
0
☆☆☆★2014/10/11
利一
0
かなり面白い。特に前半のシリーズモノはコミカルな描写の中で、やや奇をてらったトリックがきまって今でも色あせない作品である。これから読む全集も楽しみだ。2013/03/27