内容説明
80年代の後半、新宿・町田の山下書店で、雑誌・文庫の売り上げを急激に伸ばし、90年代に入り、東北の地・盛岡に“この人あり”と謳われた名物店長の軌跡。
目次
第1部(貸本漫画との出会い;貸本屋のこと ほか)
第2部(山下書店に入る;返品作業から学ぶ ほか)
第3部(さわや書店へ移る;文庫に取り組む ほか)
第4部(ラジオと本;さわや書店伝説 ほか)
著者等紹介
伊藤清彦[イトウキヨヒコ]
1954年、岩手県一関市生まれ。1982年、山下書店本店にパートで入社、87年、本店副店長(社員)、89年、町田店店長、91年3月、山下書店退職。91年7月、さわや書店入社、92年1月、さわや書店本店店長。2008年10月、さわや書店退職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ふじ
13
今は亡き、さわや書店伝説の店長、伊藤氏インタビュー本。弟子とは打って変わって、硬派な書店員像が浮かびます。読書量も、エビデンスに基づく売る力も、完全に凡人と域が違う。本の案内人がいる、書店本来の姿を知っている最後の世代なのかもしれない。自分の知らない景色を見た読書でした。巻末で希望の図書館として挙げていた南相馬図書館、奇しくも出版は震災1ヶ月前。2021/05/08
nbhd
13
書店にならぶPOPを発明したとされる伝説の書店員・伊藤さんへのインタビューをおさめた本。だけれど、むしろ、伝説の書店員を前に、身を乗り出して自分の考え方や自身の過去の著作を語る聞き手の「臆面のなさ」に注目したい(文学的な意味で)。興ざめ。そういった点で、奇書にカテゴライズされるべきナゾな本だった。2016/10/08
てん
10
少し前に初めて盛岡の街を歩き、商店街にあったさわや書店に何気なく入りびっくりしてしまった。独特な品揃えや店の雰囲気。本屋は街の文化の拠点だし、その街のレベルを表すものと勝手に思っているが、今でも忘れられないさわや書店の、かつて伝説の店長だった人の軌跡である。私よりおそらく20年ほど上の世代のため、読んでわからないこともあるが1980年代以降の話はそれはもう面白かった。現在書店に行って、面白いと思う店と、つまらないと思う店がある理由が少しわかった気がする。本好き、書店好きの人におすすめしたい。2022/01/23
ジュースの素
7
読みたいと思っていた伝説の本。この人にして、この書店あり! まさに、だ。本屋がどんどんなくなって行く。 その理由が分かるだけに歯がゆい。それにしても特に地本の書店の無能ぶり。大手出版社の言いなりで独自の理念が無い。札幌の あの書店のカリスマぶりを思い出した。時期はどちらが先だったのかな。2020/02/06
makoto018
7
全国でも有名な、盛岡さわや書店。その基礎を築いた、伊藤清彦元店長へのインタビュー本。東京の書店勤めから帰郷。そこで見た地方書店の衰退。伊藤氏は文庫棚の構成替により売上を急上昇させる。それは、出版社や取次の推薦だけでなく、自分の経験や分析に基づく棚づくり、POPづくり。結果「天国の本屋」「だからあなたも生き抜いて」「がんばらない」「永遠の0」など、さわや書店発ベストセラーが誕生。今思えば、学生時代、本屋を店ごとに使い分けできたのは、書店ごとに顔があったから。盛岡さわや書店にはまだそれが残っていると感じます。2019/01/17