内容説明
魂の桎梏を描く迫力の作品群。
著者等紹介
宮野村子[ミヤノムラコ]
1917(大6)年、新潟生まれ。本名・津野コウ。実践女専(実践女子大学)国文科中退。38(昭和13)年、紅生姜子名義で『シュピオ』に「柿の木」を発表。同誌編集人だった木々高太郎に師事する。戦時中は大連に暮らし、戦後、日本に引き揚げてから本格的な執筆活動を開始。49年、江戸川乱歩、木々高太郎両氏の推薦とともに『宝石』に一挙掲載された中編『鯉沼家の悲劇』(宮野叢子名義)で注目を集める。56年から村子と改名。90(平2)年、肺ガンのため死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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有理数
17
至高。宮野村子という作家との出会いが今年一番の幸福な出会い。これほどの作家の作品が気軽に手に入らないなんてもったいない。こちらは宮野村子の『宮野叢子』名義の作品を集めた叢書の第二弾である。彼女の書くミステリは、確かにトリックは数あれど斬新さや驚きはない。しかし「私は人一人を殺すのに千枚書いても構わない」と断言する彼女のミステリは、圧倒的に物語の力が素晴らしい。人間が生きていて、誰かと恋をしたり誰かと関わったり、しかしその生を賭しても誰かを殺す、その一瞬にどれだけの情念が込められているか。(続く)2014/12/27