内容説明
『出版社と書店はいかにして消えていくか』『ブックオフと出版業界』の二冊の後をうけ2001~07年の業界の動きを克明に追いながらその危機をもたらす歴史的な背景を活写する!図版50余点。
目次
第1章 二一世紀初頭出版業界クロニクル(始めるにあたって;『だれが「本」を殺すのか』問題;作者・出版社・取次・書店・読者、および古本屋、図書館 ほか)
第2章 出版業界の現在分析(戦後出版業界の売上推移;一九九七年からのマイナス成長;書籍の新刊点数と自費出版 ほか)
第3章 出版敗戦と第二の敗戦が意味するもの(八〇年代におけるアメリカの日本占領;農地改革の真相;第二の農地改革 ほか)
著者等紹介
小田光雄[オダミツオ]
1951年静岡県生まれ、出版業に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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阿部義彦
21
ブックオフで、著者は既に「出版社と書店はいかにして消えていくか」「ブックオフと出版業界」「図書館逍遥」等の著作がある。まず2018年の現在、あれほど目の仇にしてきたブックオフでさえ、赤字で存在が危ぶまれている事をあげておきます。私も問題は再販制度と委託制にあるという著者の意見に同意します。雑誌はさて置き、書籍に限っては委託←見繕い配本の元凶 を辞めて全て買い切りにして、売れなかったら好きに値引きするべきだと思いますが、もう時期を逸してるし、取次も何もしないどころか、トーハンは店売廃止とか呆れてしまいます。2018/11/04
moonanddai
9
やはり「いかにして消えていくか」の後が気になって読みました。そこには「ぼくは本屋のおやじさん」みたいなロマンチックなところは全くなくなくなり、ビジネスの世界しか残っていないようでした。商店街の老舗・中小店→郊外型書店→複合大型店→ショッピングセンター内書店という流れもよくわかりますし、そこにいるのは「読者」ではなく「消費者」だというのも感じられるところです。そういう意味では、タイトルさんとか恵分社さんとかは大変なんだろうなと痛感します。最近札幌でもかの書房さんという本屋さんができました。応援しないと…。2019/06/18
Nobu A
6
立花隆推薦本でもある前著「出版社と書店はいかにして消えていくか」に大いに啓発され、読まない選択肢はないと手にしたが、かなり後悔。これだけ落差を感じる筆者も珍しい。いや、初めて。緻密に事実を積み上げてきた前著と被る箇所多し。大店立地法で中内功と堤清二は排除され、アメリカ型消費社会が席巻って何なの。経済全体まで論じるだけの論拠もなく、繰り返す嘆きは途中から愚痴にしか聞こえなかった。米国陰謀論を出すなら、アメリカもモール以前は商店街中心だったはず。出版業界に携わる者としての反省や今後の方策を論じて欲しかった。2021/11/27
ライナス
4
読書家を敵に回すような筆者の物言いに不快感がややあったものの、興味深い内容でした。 Amazonやアメリカが悪の根源のように書かれているが、消費者が乗っかってのこの現状だから。憂鬱で仕方がないこれから先、ただ流されて行くより他はないよね。2017/11/13
さとみ
2
書籍の再販委託販売を廃止すべき、という著者の意見は的を射ていると思う一方、手遅れなのではないかとも思ってしまう。再販・委託制度の下でやってきた中小書店はSA化も遅れていて、いまだに電話やファックスによる注文が行われている。この状況では同業他社との競争も厳しいが、出版業界全体が他業種との競争で勝てない。この本が書かれた2007年よりも、状況は深刻になっているに違いない。2014/04/29