内容説明
ソ連のとある村が、軍隊によって焼き払われ、住人は収容所に入れられたという。英国情報局のカーク将軍が調査に乗り出す。その地でなにが起こっているのか…。卓越した筆致で描く異色エンターテインメント。既刊『闇に葬れ』で好評を得た、稀代のストーリーテラーによる本格ミステリ+モンスター・パニック。「B級怪奇映画ネタなのに仕上がりは名匠級」と評される著者のデビュー作、本邦初訳。
著者等紹介
ブラックバーン,ジョン[ブラックバーン,ジョン] [Blackburn,John]
1923~93。本名・ジョン・フェニック・ブラックバーン。イギリス、ノーサンバーランド州生まれ。ダラム大学を卒業後、トラック運転手や教師を経て出版社の職に就く。1958年に『刈りたての干草の香り』でデビュー。同作を含め九作品でカーク将軍やレヴィン卿が活躍する。兄は詩人のトーマス・ブラックバーン
霜島義明[シモジマヨシアキ]
1958年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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HANA
65
ブラックバーン三冊目だけど、相変わらずサスペンスと謎、SFの融合がとても60~70年代とは思えないほど上手い。ソ連の村が焼き払われた事から端を発し、迫る危機とタイムリミット、意外な所にいる意外な人物とそれぞれのいい所を融合させているので、こちらものめり込んで読み進められる。ただ帯にモンスターパニックってあるけど、モンスターじゃないよね。『闇に葬れ』ほどじゃないけど、パニックだけど。実際謎の正体としてはこちらの方が先駆的、今でも数多の作品に使われてるし。過去の物とは思えないジャンル融合作品、お勧めです。2019/05/15
Panzer Leader
63
格調高い題名とはうらはらに、世に出るのが早すぎた国際諜報物とSF、バイオホラー物が融合した傑作というのはほめ過ぎだろうか。キングやクーンツの先駆けともいえるモダン・ホラー風なこの作品が60年前に書かれたとはとても思えない。派手派手しい描写は無いのに心が寒くなるような恐怖を煽る手法に感嘆。謎の奇病と異形のモンスターを作り上げたのが、ナチスドイツの庇護を受けたうら若き女性マッドサイエンテストってのも自分好み。そしてお約束事のごとくヒムラーが登場するのには笑ってしまう。2020/02/10
スズコ(梵我一如、一なる生命)
14
あまり読まないジャンルの本でしたがサクサクと軽く楽しんで読めました。登場人物紹介と照らし合わせていけば物語の半分位で犯人(?)の目星がついてしまうのが許されるのは、本書が本ジャンルにおいて早すぎる段階で書かれていたからでしょうか。1958年には最先端すぎる国際情勢でもあったんだろうなぁ。関係ないけど、犯人探しものとしてもっと古典的なクリスティのオリエント急行殺人事件が読みたくなりました。全然脈絡ないですね。2019/05/28
ettyan えっちゃん
5
久しぶりにモダンホラーを読んだなあという感想。世界的な謀略とSFとモンスター。最後に出てくるデカいやつ。 論創社のミステリーから出てるので、すなおに読むと国際スリラーサスペンスものとしてもいいんだけど、どうにも、この醸し出すモダンホラー感がたまらない。 しかし、よくよく調べると、原書の発刊が1958年なので、全くモダンでないなあ(^^)2022/10/29
hal0609
4
評判を聞いてゲテ物を予想していたが、今の感覚からするとモダンホラーそのもの。ロリンズのΣフォースなんかの方が、余程キワモノ感が強い。 最近の類似作品と比べると小粒で物足りない気もする。クーンツあたりが書くとこの三倍位の長さになりそう。2019/05/19